□月 ●日  No1584 大型診療所


年末をよりによって幻想郷で過ごす羽目になる。
去年は月の都で変なものを喰わされたことを考えれば大分マシなのかも知れない。
実家から今年は帰らないのかと言われたが、今年は仕事だよと答えるしかない。
岡崎が、帰る家があるのは良い事だと言っていたのが妙に印象深い。
それよりも年末も年始も関係ないようになっていることが大問題だ。


さて、この幻想郷においては年末というと奉公人の帰省が行われるという
一大イベントと共に彼らがもっとも危険な状態になる日でもある。
妖怪達は村人を襲わない。それは即ち帰省などで移動中なら襲っても仕方ないという
意味でもあるのである。


移動中の人間が妖怪に襲われるケースが当然多発する。
もっとも彼らもそうしないと年が越せないためなわけで、我々の方でも
見て見ぬ振りをするしかない。
もっとも精神的な感情を食べる妖怪についてならあまり問題ではないのだが。


命蓮寺を軽く覗いたら緊急診療所と化していた。
私の姿を見たら、医療器具が足りないから手配してくれという。
現地法人は年末年始関係なく開いているので連絡して尋ねると、取り敢えず
必要量まではいかないが有る程度確保できるとのこと。


実のところ奉公人を襲う妖怪達も命がけなのだ。
近年はスペルカード技術の革新により、私でも弾幕を放つことができる。
もちろん単発の寂しいものだが、命中すれば妖怪といえどただでは済まない。
食うに困った妖怪は身代わり呪符すら食べ物と交換している者も少なくなく、
大怪我してそのまま死を待つばかりのところを大師様の一行が拾ってくるようだ。


寅さんが横で炊き出しをやっていて妖怪と人間が一緒になって粥を食べている。
人間にはお前ら普通に帰れよと言わざるを得ない。
もちろん断ると碌な事にならないことくらい命蓮寺の連中は知っている。


夕方、医療器具を搬送して一日が終わってしまったが
まあ、ふだんと変わらないいつものパターンである。問題は無い。