香霖堂にものを入れながら駄弁っていたら、雨が降り出してきて帰りにくくなった。
この時期の雨はとても冷たく、空飛ぶ人間にとってはきつい季節だと思う。
暫くすると雨宿りで何人かの危険人物がやってきて店が賑やかになった。
幻想郷住民にとって雨は色々と大敵である。
基本的に空を飛ぶ娘にとって大雨は身体全体を冷やし、最悪低体温症で墜落という問題に波及する。
ここに主に妖怪が空を飛んでいる理由がある。 妖怪なら低体温にも耐えられるのだ。
博麗の巫女や霧雨のご息女はどうしているのだろうか?
霧雨のご息女のコンセプトはシンプルだ。 雨合羽を使って防水を行う考え方である。
魔術で衣服を交換できる場合はこの方法が一番効率的だ。
もちろん衣服が湿気で駄目になった場合は、一度着陸して新しい服と着替えるのである。
博麗の巫女の発想は豪快だ。防水性を完全に捨てて濡れたら濡れたままにしておく。
これは多少の雨を陰陽玉が防いでいるからに他ならない。
また、万が一集中が途切れても飛行制御は陰陽玉に引き継がれて墜落しないようになっている。
それでも駄目な場合は身代わり呪符でその場を離脱する仕組みとなる。
いずれも雨への防御方法は素晴らしいものだ。
魔法使いの中でもハイレベルな魔法使いは魔術を使ったシールドを使っているらしい。
人形遣いのアリスは人形を利用した雨避けを利用しているがそもそも雨の日は飛行を避けている。
朝倉は謎の回転体を頭上に回転させて雨を吹き飛ばしているようだ。
自称現人神になると奇跡で自分の廻りだけ雨を避けさせることができるらしい。
彼女はチートなのであまり参考にならない。
だが、真の意味で豪快な奴がいる。
それは大師様だ。つまるところずぶ濡れだろうが低温だろうがどうでもいいらしい。
力と馬力で突破する。 つまりずぶ濡れになった挙げ句に香霖堂に上がり込み
周囲をびしょびしょにしながらストーブの前でお茶を飲むのを勘弁戴きたいという意味である。
ほら、売り物が濡れて酷いことになっている香霖の肩が震えているではないか。