□月 ●日  No1631 交通麻痺


先日からの悪天候で嫌な予感がしていたが見事的中した。
雪で顕界の交通網が麻痺していた。
こういう時幻想郷なら楽だ。中間配送はカードに仕舞って空飛んでる連中に任していられる。
しかしここは顕界だ。 高速道路が凍結したとかで通行止めになっていて
よりによってヴァンパイアの主人行きの商品が遅延している顕界だ。


というわけで2トントラックを走らせていざ流通ステーションへ。
横に乗せているのは冴月である。 自分の荷物を現地で検品したいらしい。
しかし幹線道路は全て渋滞。 全ては全てを導く程度の能力を持つ彼女の力に掛かっている。
と思う。


あちこちでトラックや乗用車が幹線道路で立ち往生する中、2トントラックの微妙な小回りで
裏道を突き進む。この微妙な大きさのトラックだからこそ出来る芸当だ。
裏道は実のところ結構雪が解けている。 しかし、雪道になれていない連中が
危険を避け幹線道路になだれ込んだ結果この状態になっている。
つまり少し裏道を走れば問題は解決だ。
お陰で、想像以上に早く着いた。 問題はもっと別な部分にあった。


トラックが混み合っていてフォークリフトが借りられなかったのである。
冴月が私が運ぼうかと言っていたがそれは勘弁願いたい。
あなたは妖怪だからパレットの一つや二つを素手で運べるのだろうけど
そんなところを周囲に見られたら色々と困るだろう。


仕方ないのでパレットの梱包を外し、パレットをまずトラックに積んでから手積みになった。
冴月がもっとまとめて運びたいと文句を言う。
だんだん彼女の持つ物量が増えてきているのはご愛敬である。
幸い周囲は忙しいようで、廻りに目は行ってない。
それをストレッチフィルムで囲みロープで縛ればどうにかなる。


近くで悲鳴が聞こえた。 なんでもフォークリフトの荷物が崩れて
人に当たったらしい。 見てみると巻き込まれたのは冴月だった。当然無傷である。
「途中まで支えておいてゆっくり下ろしたけど、痛がった方がいい?」と聞かれたので
避けたことにしておけと応えておいた。
普通の人間なら確実に即死である。


一応目的は達成したのだが、その後2回ほど流通センターを往復することになった。
3度目は道路も元に戻ってルーチンワークになったが、まあヴァンパイアの主人の荷物も
間に合って何よりである。