□月 ●日  No2162 ノウハウの焼失

 スペルカードは妖怪同士の戦い、または博麗の巫女との戦いにおいてとても有効な仕組みとして長らく機能してきた。
しかし、ここにきて大きな問題も噴出している。
最近、朝倉がぼやいていること。それは弾幕の原理原則が妖怪の中でノウハウが消えているのではないかということだ。
スペルカードは要は低級システムを覆い隠す役目をもつ。あたかもコンピューターにおけるOSのように振る舞い
妖怪や人間たちが弾幕戦をつつがなく安全にこなすための仕組みとして機能する。


 しかしここにきてスペルカードシステムに異変が生じ始めている。たとえば霊撃である。これまでは博麗の巫女が
スペルカードを発射すればきちんと弾幕が生成されたのだが、それが正しく設定できない。
もちろん霧雨のご息女みたいに昔のコードを流用してというのなら話は別だが、基本がここにきて急速に失われている
実情があるのだ。


 この調子だとスペルカードが万が一なくなったら満足な弾幕戦はできないのではないかという懸念が広まっている。
そこで、すでに阿礼乙女がスペルカードの基礎知識に関するドキュメントを並行で纏め始めた。
ノウハウの消失と、原理原則が失われるのを防ぐためである。


 ここで問題も噴出した。この件で集まった人の中でも結構ノウハウが消失していたのである。
そこで朝倉は古文書やら、いろいろなものを用意する羽目になった。いくつかは霧雨のご息女の家にあって
突入の末確保したなんてものもある。 実は彼女の霊撃が先祖返りしていたのはその辺に理由があったようだ。
 ノウハウの消失があったのはスペルカードが低級言語の一部を自動的にコーディングしてくれるからである。
元々は事故防止のために作られた機能であったが、この機能がどうもノウハウの消失に一役買っているようだ。


 ともあれ、実は紅魔館で行われるちょっとしたセレモニーの前にスペルカードを使わなかった頃の演武をやることになったのだが
果たしてこれ上手くいくのか正直不安である。 
 いざとなったら奥の手があるらしいからとりあえずそれに期待することにする。