□月 ●日  No2359 お寒い限り


ある電機メーカーがあった。このメーカーの会長は先見の明があったのかよくわからないが。
亡くなる前にいわゆるESPの研究に手を出していた。その目的は幻想の世界で起こる数々の
出来事の電子制御化であったと言われる。
会長が亡くなったあと、この部署はなくなることになった。一説では様々な事故を起こしていたとか
一説では宮内省に潰されたという噂もある。


さて、この部署にいた人はどうなったのか。彼らの身に起こったのはスカウターによる
人員争奪戦だった。人によっては相当のお金を積まれたという話もある。
拡散した人員はのちに八雲商事の発注システムナレッジナビゲータの開発に携わったり
米帝に渡った人はヴィヴィットの開発に携わったという話もある。


さて、そこにいた人から話を聞いたわけだが、そこの話がまた傑作だった。
ESPの存在の確認、ESPの多少の制御までは考えられたが
応用方法が見つからなかったらしい。当たり前だ。エレクトロニクスは人間によって左右されないから
重要であって、人間の特性によって左右されまくる商品は広げるべきではないのだ。
実際ナレッジナビゲータの中期型でさえ失神事故が起こりまくった。
弾幕回避の緊急避難でパニック状態で必要以上に発動しているからなわけでなんとも言えない。


そして根本的な問題だが、人によって効果範囲が相当違うということだ。
下手すれば見えてほしくないものまで見えるのでチューニングが必要なのである。
これは現代の八雲商事で起こっているのでこんなものが製品化したら事故だらけだったろうと
思われる。この時期「製造物責任(PL)法」というものも施行されているのも
理由の一つだったようだ。


つまるところ、この辺の研究は今も昔も相当お粗末だったと言うわけだ。
ちなみに朝倉が、「私があの当時にその会社に行っていれば一流企業に勤める若い燕をゲットし放題だったのに」
と言うのを見て色々コメントに窮する次第である。