□月 ●日  No2360 排便申請


ある場所に八雲商事の研修施設が存在する。
現代の交通システムに適応して空を飛べなくなってしまった妖怪の訓練などを行っている場所として知られる。
その中でも人間の姿になったばかりの妖怪にある技能を教えるところがある。
それはなんと排泄の仕方の訓練場だ。


多くの妖怪は動物や物から変化する。動物において排泄行為はマーキングなどを
兼ねているが人間はあくまで所定の場所で排泄行為をすることが求められる。
多くの妖怪がそのようなルールを思いもよらないため大体の場合でパニックになるのだ。
特に服を脱いで下半身を露出させるという動きができない。


幻想郷の人里にはいわゆる路傍便所と言われる公衆トイレがあちこちに設置されている。
実は幻想郷立ち上げ時には作られなかったものだ。
明治政府は諸外国との対面のために作ったのだが、幻想郷の場合は背景が異なる。


これができた理由は幾つかあるのだが、第一に人間の姿になった妖怪たちが
外で排泄行為ができなくなったことが理由として挙げられる。
ハッキリ言えば不潔ともいえるが、どちらかというと不潔というよりも
助平な衆目にさらされることのほうが大問題というわけだ。
ちなみに、一歩人里を出れば、立小便と野糞のオンパレードである。


さて、訓練施設だがそれはもう悲惨の一言だ。
ハッキリ言ってしまえば、服を脱ぐのが追い付かないで
服の中に排泄してワンワン泣いている妖怪たちがやたら多いのである。
当然の成り行きとはいえ仕方ない部分だ。
幻想郷の妖怪たちがズボンを穿くよりスカートを多用する理由がここにある。
スカートじゃないと色々大変なのだ。
さらに紙でお尻を拭く動作で大混乱が起こる。痛いとか破けたなどのトラブルが
多発して、その都度大騒ぎになる。


そんなものだから訓練施設から悲鳴があがると謎の噂までつく始末なのだ。
大変だけどなんとかしてもらわないといけない。



一応、衣服を洗うための洗濯機が常備されているとはいえ、
どんな妖怪も一度は通る道だと言う。人間の姿になると言うのは
実はとても大変なのである。