□月 ●日  No2150 適応


 八雲商事現地法人にはそれなりに大きな訓練施設がありまして、そこではサバイバルとか、スペルカード利用とか色々な訓練をしております。
基本的にこういった訓練施設は幻想郷でありながら幻想郷でないように隔離を行っており、ここに住んでいる動物たちも話をつけ、納得の上で
運用されている。
 このルールを守らないと色々な部分で不具合が生じる場合がある。生態系を守る過程で動物たちから逆襲を受ける場合もあるのだ。
こうなると色々な意味で不具合も面倒も生じる。たとえば、サバイバルの訓練で何でも食べないといけないとなった場合は動物も餌食にしないと
いけない場合がある。勿論供養はするが、動物も妖怪化して対抗する場合がある。もっとも動物が妖怪化しても御咎めがないのがこの場所ともいえる。

 
 もっとも妖怪化した動物がそうそう暴れるということはまずない。彼女がいるからである。
 その名は冴月麟。長距離狙撃を得意とする八雲商事きってのスナイパーだ。
彼女にかかれば、存在を知覚されるころには天に召されることになる。 


 だが、ここで問題も起こっている。長距離狙撃故にどうしても回避できないのが音だ。
彼女にかかればほぼ百発百中なので、動物たちは銃声イコール同胞の死と思う者もいるらしい。
普通の発砲音と違うので聞き分けて警戒する者もいる。もっともそこまで頭が回る動物たちは冴月が普通の動物を攻撃しないことを知っているので
冴月の銃声を聞いたら大体なんだと言う。
 しかも冴月は極力幻想郷住民に迷惑をかけないようにと可能な限りサイレンサーをつけてくれている。そのためかサイレンサーなしの銃声を
下品な銃声と評する妖怪もいるくらいだ。


 実は幻想郷にも銃を持ち込むことは可能である。この施設も火器の特性や危険性を学ぶために建築されたという謂れもある。
妖怪たちも銃に適応しているのだ。勉強熱心な妖怪たちが銃の使い方を学びに来る場合もある。
妖怪たちも幻想の世界に甘んじているわけではないのである。