□月 ●日  No2516 弱き世界


幻想郷という世界を守るためにはどうするのか?
ハッキリ言って、幻想郷を維持するのは単純ではない。重要なことは幻想郷自体が
一つのお金を稼げる業態として維持することであった。


弱い団体が生き延びるためにはどうするのか?
全てはこれである。幻想世界という名前の妖怪の避難場所が幻想郷の存在意義であるが
当然、完全な隠れ里とするには無理がある。
隠れていればそれは疑心暗鬼を生み、結果的に潰される可能性が常時あることになる。


ゆえに幻想郷は二つのコンセプトを忠実に守ることになった。
一つは一つの組織として運営できる業態としての幻想郷を成り立たせること。
もう一つは、当時の有力者に取り入り協力を仰ぎ続けることだ。


従って幻想世界ではあっても細々と続くようにすること。
そして庇護を求める場合はそれ相応のメリットを顕界に与えることは
幻想世界であろうとも維持のためには必要なことである。


賢者にはひとつの勝算があった。
それは妖怪たちの知恵がここにきて科学的に証明されるようになったことだ。
妖怪の知恵が幻想の世界にとてつもないお金を生み出すことは
すでにヨーロッパで成功事例があった。
この目論見は見事当たることになるのである。