□月 ●日  No2630 YakumoOS Ver 13.0(β)がリリースされました。


 八雲商事には情報システム部がある。この手の部署は本来ならシステム部と言っておきながら機材の管理とか
 保持などを行うのが主であり、大体のシステム構成は外部委託が常であるのだが、八雲商事の場合は
 きちんとしたサーバールームがあって携帯端末のソフトウェアまで一貫して製造している点でだいぶ違う。
 これはある意味仕方ない部分だ。幻想郷の存在は建前上秘匿されないとならないからだ。
 建前というのがいささか悲しいのだが。


 ソフト開発は相当数のミドルウェアを利用する。ミドルウェアとは開発支援ソフトであり、ソフト開発の効率化と
 規格化を行うソフトでもある。そこに擬似スペルカードまわりのモジュールを組み込んだ半独自仕様のソフトを
 用いて開発するとされる。現代のシステムは複雑であり、全体を把握するのは困難だ。
 そこで可能な限り出自周りで明瞭なシステム、多少価格が掛かってもある程度選別したハードウェアを利用する。

 
 ソフトウェアのアップデートは幻想郷内部でもステーションに接続すれば可能になっている。
 ちなみにこのステーション、幻想郷に配置されている河童が製造したとされる天気予報システムにコネクトすることで
 実現するものだ。もちろんワイヤーで接続すると怪しまれるので多少距離を取って電送する仕組みである。
 天気予報の前で座り込みながらぼーっとしている人がいたら八雲商事社員を疑ったほうがいいかもしれない。


 データベースまわりなどは顕界で使われる汎用のものが使われる。悲しいかな予算の関係である。
 予算がないから、割りと安いソフトやエディタを使うわけだが、それだと監督が居ない完全燃焼試合野球軍と化すので
 ミドルウェアでプログラム品質を担保するというわけだ。
 スペルカード用のプログラムは完全に隔離されて、別の空間で実行される。メモリリークが起こっても、物理的に
 アクセスするメモリが違う場所にあるため、やられることがないのだが、近年メインメモリをスワップする
 えげつないプログラムが朝倉の手によって開発されて、妙蓮寺組で使用される大容量スペルカードで用いられているようだ。


 新端末が出るとだいたい社内で人柱が建てられる。ここでいう人柱はトラブル発生時にヘタすると命を落としかねないので
 本当に人柱である。システム課の連中がもっとデバックしろと言いたくなるが、こればかりは致し方ない。
 再現系、おまけにフリーズを伴うバグが無かったらとりあえずスルーされるのである。


 そして壮絶なじゃんけん大会が始まるっ