□月 ●日  No3036 著作権団体に云うぞ


 雷子の件は一旦棚上げ、別件の仕事を行うことになっている。雷子の件は期間も長いし費用もある程度の
 天井以降は変わらないので一応の手を打ちながらの仕事になる。
 まず、彼女に水仕事をやらしてはならない。家電を数個おしゃかにしたところでなにもしないように
 いうことにした。今おっさんのように横になりながらテレビを見ているところである。


 魂魄の件はさすがに手を打つことになった。旧知の伝手を駆使してなぜ彼が雷子を狙うのかを確認する
 手はずとなっている。うまく行けば数日中に結果が出るだろう。
 今日の仕事は久々の浮気調査である。依頼人がほとんどの資料を集めた後でトドメがほしいというパターン。
 最近はITの普及で依頼人が資料をだいたい集めているケースも多い。
 こっちの仕事は比較的楽だが何分単価が低い。なのでけっこうきつい。


 依頼人は別の車で待機している。
 うまく行けば乗り込むことになるのだが、肝心の依頼人が怖気づいてしまい動かない。
 そうこうしているうちに行為そのものが終わってしまう、チャンスはあるだろうが
 こっちの仕事が大問題。説得しようとしたところを割って入ってきたのは、依頼人の車を運転していた
 雷子だった。いや、留守番を頼んだはずなのだが。


 彼女いわく、依頼人が車で移動することも躊躇ってしまったのだそうで。
 彼女も説得したのだが、うまく言ったとは到底言いがたい。 
 そこで雷子がトンデモナイ提案をした。突入時に太鼓を鳴らすからそれでというのだ。
 彼女の太鼓は所謂呪歌の類であることは、事前調査でわかっている。だがこれで効果があるなら
 それで行ったほうがいい。 ゴーサイン発動。


 どこから見ても某サイボーグ映画の曲だった。
 だが効果てきめん。しかも配偶者は驚くやら怯えるやらでこちらも効果てきめん。
 煩いと言って殴ってきた浮気相手をいなして警察通報。お持ち帰りになった。
 

 あとで自分の持っている端末を見たらそれは呪歌じゃなくて映画のサントラという
 オチガツイた。 結果オーライだが、ピースサインをしている雷子を見てため息だけが出た。