▼月 ●日 No 125 妖怪と経済


外の世界の妖怪は悲惨な者ばかりではない。 妖怪たちが優遇されている世界もまた存在する。
それは起業である。 銀行は妖怪たちには割りと優先的に融資してくれるのだ。
妖怪たちは義理堅く焦げ付く心配は少ないことや、彼らは長寿で所得を維持できる期間も長く
働いて返済するということも容易だからである。
妖怪の中には株で財を成した者もいる。 
今から数百年前の話だが、時の英雄が海戦で敗退したことを妖怪の力で
いち早く知ることができた者が大もうけをして、今や世界の経済の一角を成しているという事実もある。
そんな財閥の息のかかった銀行は妖怪たちに優先的にお金を融資するから、妖怪たちはタネ銭に困らない。
我々の会社もまたそういう会社のひとつであると言える。


そうした人たちが幻想郷関連に投資するのは、知能が低い妖怪を隔離するためだといわれる。
知能が低い妖怪は大抵人間に害を及ぼすので、最悪の場合自分たちの足元がぐらつくリスクがある。
人間たちの信用をなくすリスクに比べれば、幻想郷に物資を運ぶ費用なんてものは誤差範囲に過ぎないのである。
幻想郷とはとどのつまり、リスク要因となりうる低知能妖怪を隔離する一種の幼稚園のようなものではないだろうか。
かくて、人間たちと妖怪たちのこの奇妙な均衡は今後とも続くことになりそうである。
だからこそ私の飯の種もまた存在するわけだ。