●月 ○日  No247 誰かこいつを止めろ


最近、阿礼乙女がらみのトラブルが急増している。
大半のクレームは妖精たちからで、あちこちにあるトラップで
怪我が絶えないらしい。
ポイントは阿礼乙女自身が手を下していない点にある。
どうやら、阿礼乙女は妖精たちの捕獲方法を教えて回っているのだ。
ところが妖精たちの捕獲方法が極めて物騒である。 
中には人間も捕獲できるような罠もあり危険極まりない。
阿礼乙女をとめるため、面識があり寿命が短い人間ということで
私にお鉢が回ってしまった。


阿礼乙女は基本的にロジックで動くタイプだと思っている。 
彼女を説得するためには彼女を納得させる論拠がいるのだ。
色々思案して、たどり着いた答えは妖精たちとゲームをすることであった。
これは、妖精狩りに一定のルールを設けて妖精たちにはそれをゲームと認識させる。
一方で阿礼乙女にはルール以上のことをしてはいけないと規制をかけることである。
この申し出に阿礼乙女は納得してくれた。 
妖精たちも面白そうだと賛成してくれた。
妖精たちも一方的に狩られるのは勘弁願いたいというのもあるのだろう。


しかし誤算もあった。
妖精ハンティングにルールができて敷居が下がった結果、
結局妖精狩りがさらに広まる結果となってしまったのだ。
お互いが納得づくとはいえ、今回は迂闊だったとボスに窘められる結果となった。
数日後騒ぎは収まったが、収まる前日にボスが阿礼乙女のところへ碁をやりにいっている。
何とも申し訳ない気分である。