○月 ◇日  No282 奥さんちょっと聞いてくださいよ


河童にこれだけは言っておきたい。
私も岡崎も人間です。 ホモサピエンスです。 
宇宙怪獣アラズンバじゃありません。
だから何故私に「今日人間に会ったよ」と言わないでほしい。
うちの会社のIRシステムに河童がハッキングを仕掛けていることは
既にわかっていた。
そのことを咎めると「人間観察」と言っていたがまさか私を人間と
思っていなかったとは思わなかった。 
道理で人見知りするはずの河童が逃げないわけだ。


ボスから厄神様に厄を落としてもらえと指示をうけた。 
いつの間にか顔色が悪くなっていたらしい。
厄神様の場所へは容易に行けた。 今まで知らなかっただけとも言う。 
幻想郷で働いている私だが
地理についてはまだまだ知識が足りないようだ。
厄神様は私のことを観察すると、「妖怪は専門外なんだけど」と言った。
厄神様 あなたもですか?


笑いながら「冗談」と言われて嘆息するも、どうやら私の物事を気にしすぎる性格が
厄を呼び込んでいると言いたいらしい。
さすがは厄神様である。 単純に厄をはらうだけではなく厄の原因をきちんと
指摘するのは専門家ならではだ。
厄神様はこうも付け加えた。もともと妖怪の由来のひとつが外来人なのだから、
私は幻想郷の者からすれば「怪物」だというのだ。 なるほど。


厄神様のアドバイスで随分気が楽になった。 
彼女は多忙の身らしく簡単には相談には乗ってくれないそうで
今回は話をつけてくれたボスにも感謝しないといけない。