○月 ×日  No307 まーこんなもんです


私の仕事は、幻想郷といわれる隔離世界に物資を運び続けることである。
幻想郷とは古代の賢人が作り上げた論理結界の中にある一地域であるが、
そこにあるモノは幻想郷内だけでは残念ながら自給することが不可能である。
幻想郷が生まれた当初は人の出入もあり、物の流れもあったのだが
現代においてはそれも望めなくなった。 
そこで神隠しをシステム化しようという動きが起こって
こうして今や法人として、幻想郷にモノを送る業務を続けているわけだ。


今日の荷物の中にある場所の観測結果が含まれていた。 
極秘と書かれているので詳細は不明である。
届け先はうちのボスである。 数日前から幻想郷入りしている。
ボスはなぜか幻想郷に居る数々の大物と対等に話ができるらしい。
ボスに何故と聞いたことがあったが「それだけの貸しは作ってある」と豪語していた。


もちろん荷物はそれだけではなく、妖怪たちが食べる食料の類もあるのだが
今日は幻想郷へいくためのゲートがなかなか開かなくて困る。
荷物は大至急ではないのだが、おそらく中間管理職狐が仕事をサボっているのだろう。
あまりに遅いので、凸電を敢行する。
応答したのは何故か式神”橙” 
耳を澄ますと奥で「ざわ ざわ」とか
「さらに格別っ……! 最高だっ……! 」とか聞こえた。
電話おいてとりあえず胃薬を放り込み、列車の中でそのまま不貞寝することにした。