○月 △日  No380 魔界の職員ルイズさん


最近になって気がついたのだが、人にクリティカルな危害を与えるのは
総じて美人が多いようだ。 しかも本人が一番美しいときの姿になって
出てくることが多い。


死神のお知り合いである小町嬢も似たようなことを言っていたので
恐らく間違いないだろう。
ただ幽霊本人の名誉のため敢えて言わせてもらえば、美人だから
性格が悪いのではなく自分を磨いていざこれからと言うときに
命を亡くすからどうしてもこの世に対する未練が極端に強まって
しまうのである。


死になにかしらを期待している困った人もいる。
自己愛の果てに自殺した人はかなりの確率で、死んだ後に後悔するようだ。
三途の川で取っ組み合いの喧嘩をしている女性がいるなら
かなりの確率でそういうタイプなのであまり関わらない方がいいだろう。


冥界から幻想郷へ帰還するときはこうした幽霊たちから自分の身を
守らないといけない。
彼女たちの目につく場所にいればたちまち嫉妬の炎が襲いかかってくるのだ。
そこで私が帰還するときは魔界から護衛がついてくれる。


まるでどこかのモデルさんみたいなデーモンの女性がついてきたときは
かなり焦った。 私は彼女をルイズさんと呼んでいる。 
並み居る幽霊を徒手空拳で退けたときはもっと驚いた。
そして男性観がとことんスレているところは唖然とした。
幽霊の胸ぐらを掴み、「うちのところで一週間働け、人生観変えてやる」
と言う言葉に、幽霊って人生終わっているよなとかという些細な
突っ込みは消え失せて、妙な迫力を感じてしまう。


ふと、ルイズさんに魔界でどういう仕事をしているのですかと聞いたら
「接客業」と答えていた。
恐ろしくてここから先は聞けなかった。