■月 ○日  No436 偉大なる土着神


例の神社に立ち寄って浄水器のフィルター交換と井戸ポンプに接続された
除菌器のテストを行う。 移動して間もないために井戸内が澱んでおり
逆浸透膜浄水器があっという間に目詰まりを起こすためだ。


例のおねえさんからバナナの注文があった。 検疫問題でも起こらないのかと思ったが
検疫部からあっさりOKが出た。 よく熟れたものということでリンゴを入れておいて
熟れ具合を調整した後引き渡す。 自称現人神とおねえさんは二人で一本食べると
残りを紐で吊しはじめた。 蠅がたかるだろうに一体何を考えているのだろうか
たぶん儀式に使用するのだと推測する。
バナナの皮は麻薬成分があると聞いたことがあるからだ。


おねえさんから土着神の話を拝聴する。 土着神とはその土地所縁のカミであるが
その正体は生き物たちの避難先を与えた最初のカミ様だったらしい。
遙か昔の話であるが、地上からすべての水が消えて無くなる大事件があった。
原因は天から舞い降りた災厄であるという。


大地はえぐれ、地面は津波となって世界中は文字通りの火の海となったらしい。
その時、生き物たちを地下へと誘った者がいたのだという。
それがこの神社の主と聞いて唖然としてしまった。
スケールが大きすぎて想像が追いつかない。 魔界のカミがわざわざ出向くのもわかる
下手すると隙間妖怪に勝るとも劣らない大物だったのだろう。


つり下げられたバナナは案の定蠅がたかっていた。
それを自称現人神が一生懸命捕まえている。
除虫菊とか蠅とり紙を使うよう勧めたが、ここに除虫菊を持ち込んではいけないらしい。
虫除けスプレーも禁止と言われた。
何に使うのかと聞いたらお供え物と言われた。 
なにかこれ以上聞いたらまずいことになりそうなので追求しないことにした。