■月 ○日  No445 健康診断は疲れる


今日は健康診断の日である。いつもより早く出社してさっさと手続きを済ませる。
この健康診断、うちの会社はやけにお金をかけているようでチェックする項目が多い。
まだ二十代なのに血液検査もあるし、CTまで撮影する。
友人にこのことを話したら「ありえない」と言われた。


うちの部署も妖怪用会場として使われている。
妖怪用会場では、身長体重計測は免除される。 そもそも身長も体重も妖怪に
よっては可変なのだ。 朝倉が体重計に乗らなくていいのは良いと言っている。
聴力検査や視力検査は妖怪用のものらしく、都度妖怪の学名を申告しないといけない。
たとえば「エオマイア」という学名の妖怪は魔界に住むカミ様のことを指すらしい。
なんでも「黎明期の母」という意味だそうだ。 わかるかそんなもん。


一方で産婦人科の先生による乳ガン発見の触診も開催されている。
女性型が多い妖怪にとって乳ガンは決して人ごとではない。
人間と違い、投薬や魔力療法による治療法が確立されているらしいが、
その内容は人間にとってとうてい耐えられるものではないという。


そしてこの触診で毎回必ずあるのが覗きである。
気持ちはわからないでもないが、猛獣を眼前で見るようなリスクがあるのに
頑張る奴がいる。 誰とは言わない。 


幻想郷で仕事をすると確実に体重が減る。 私も幻想郷で働き始めて
7キロくらいは減量している。 現地の食べ物の粗食に慣れたためと言えそうだ。
入社したときはピッツァでも、ものの一年くらいでほぼ健康体の体重に戻れるだろう。 
ただ塩分の採りすぎに注意と言われた。 お酒は控えろということだが
こればかりは幻想郷での楽しみの一つなのでやめられない。


ヴィヴィットが「私には健康診断はいらないのか」と言っていた。
乳ガン検診のまねごとをしようとしたので必死で止めた。
周囲はやれ、もっとやれと五月蠅かったがそういう問題じゃないだろう。