△月 □日  No463 電気あんま


うちの会社で「姫ちゃん」と言えば閻魔様のことである。
突然うちの会社に顔を出してはボスと適当にお茶を飲みながら話をして帰ってしまう。
そんな姫ちゃんのファンも数多く、社内ではファンクラブができているらしい。
閻魔様もまんざらではないらしく、ファンの写真撮影にポーズを決めている有様だ。
傍らにいる死神のお嬢が深いため息をしているのを目撃した。


北白河はその光景を見て「このロリコンどもめが」と吐き捨てていた。
そんな彼女も他の人の前では猫をかぶっているのでとりあえずノーコメントとした。
馬鹿な社員が閻魔様を社内某所で盗撮しようとして、閻魔様に電気あんまの刑に
処されていた。 完全に社内の恥である。


そんな閻魔様がショッピングに行っている時に事件は起こった。
よりによって閻魔様が行ったお店に強盗が押し入った為である。
強盗に心から同情したい気分になった。
結局小兎姫と合流して強盗を救出するため行動を開始した。


根本的に間違っていると思われるかも知れないが、閻魔様の師事した善行を
遂行してしまうと他の閻魔様の裁定に影響が出てしまうかららしい。
つまるところ、テストの答えを教えてしまうようなものなのだ。
幻想郷ならそういうことは全く問題ないのだが、ここは所轄外だから大問題に
なってしまうらしい。 
もっともテストの解答をもらったところで人間の生き方を変えられる奴はそういないと
思うのだが、その辺はややこしい事情があるのかもしれない。



作戦はこうだ。 私がかわりに説教を聞く
以上



と、いうわけで私が小兎姫に救出されるまでの3時間ほど
延々と正座しながら説教を聞かされた。 内容なんて覚えていない。
勘所だけ覚えておいて、「今言ったことを言ってみろ」と言われたら
適当に答える この繰り返しである。朝倉に教えてもらった閻魔様攻略法である。


小兎姫が、回収された強盗がまた"電気あんまを喰らわして欲しい"と譫言を言っていたので
チョークスリーパーで沈黙させたと言っていた。