自称現人神を上白沢の寺子屋に入れる計画を実行に移す。
幻想郷では我々の言葉もある程度は通じるのだが、方言や我々の世界で用法が変わった
言葉などで、彼女の廻りにはちょっとしたトラブルが頻発していた。
その都度明羅女史が応対していたのだが、根本的な解決のために
彼女を再教育することにしたのだ。
肝心の学習態度はというと上白沢が舌を巻くほどまじめで
とても喜ばしいことである。
様子を見に寺子屋に行ったら、ちょうどお昼の時間だった。
覗き込むと自称現人神が硬直していた。色々とおかずを詰めた彼女の弁当に対して
寺子屋の子供たちの食事は日の丸弁当だったからだ。
白米に梅干しがひとつだけという日の丸弁当、だが幻想郷の子供たちにはご馳走である。
子供たちは白米を食べられることが有り難いからだ。
だが豊かな食事になれていた彼女はそうはかない。
上白沢に抗議を始めた。上白沢はこちらに視線を送っている。完全に巻き込まれた。
彼らの食生活のことや栄養のバランス云々以前の問題のことを説明して
どうにかこうにか食事に戻ってもらった。
後で上白沢に聞いたら彼女は自分のおかずを子供たちに与えていたらしい。
子供たちは初めての味に大騒ぎしていたとか。
それからというものの例の神社に食品の納品量が増えた。
こちらの経費でまかなっているので無駄遣いは勘弁して欲しいのだが
おかずは自分で作ると言ってきかない。
計算したら食費がべらぼうにかかる計算になって鬱になった。
この日も人数分の卵焼きを持って行っていた。 上白沢はかなり複雑な表情である。
彼女のおかずを楽しみにしている生徒がいるからだ。
それが良い状態ではないこともわかっている。
予算が少なくなったので追加予算の申請書を朝倉に提出した。 岡崎に提出すると
はねられるので話が分かる人に提出するのは基本中の基本である。
朝倉は苦笑しながらも承諾の判をおしてくれた。 やれやれである。