□月 ○日  No543 自称現人神のちょっとした行動の末路


うちの会社は幻想郷に物資を運んでいるのだがそれにも予算が存在する。
資源を無尽蔵に送ることは当然の如く不可能だ。
自称現人神が現地の子供達に食べものを分けていたら案の定予算が厳しくなってきた。
同時輸送量を増やすなどして可能な限り協力はしているのだがそろそろ限界である。
一方で朝倉は問題ないと余裕の表情を浮かべている。一体どこからそういう自信が
生まれるのか問い詰めたい気分になる。


この日も例の神社へ納品だったのでこの話を切り出そうと思ったら
逆に自称現人神からもう食料を多く納品しないでくれと言われてしまった。
事情を聞こうにも聞きづらそうな雰囲気なので、おねえさんに理由を聞いたら
毎日お昼のおかずを子供達に配っていたら保護者から苦情がきたという。
さらに上白沢が自称現人神とすったもんだやらかして
結局次の日からはおかずを持って行かないことに決めたらしい。


自称現人神に言わせればささやかなおかずのつもりでも
子供達にとってはご馳走に映ることは想像に難くない。
しかし、そうしたご馳走に慣れてしまうと今度は普段の食事が食べられなくなるおそれがある。
本人はちょっとした良い行いのつもりだろうが、子供達やその親に言わせれば
余計なお節介なのだ。


嫌な予感がして、神社の保冷庫を覗いてみたらどうやらこの出来事が起こってから
結構な日数が経っていたことがわかった。 庫内は満杯で今にもはちきれそうになっていた。
普通ならお裾分けをするところだろうが、何も考えずにそれをやると今度は
近所がその食べ物を当てにする可能性がある。 
仕方なしに、賞味期限切れとなった食材を回収して破損扱いで処理することにする。


里香女史がたくさんの駄目になった食べ物を見てしかめ面をしていた。
もしこれを霧雨店にでもまわせばそこそこの収益が見込めそうだからである。
里香女史は冬で食べ物のコンディションも悪くないから、幾つかについては
社食に回すべきだと言う。火を通せば大丈夫だし、経理上の処理もしやすいと言ってくれた。


朝倉にそのことを話したら、すでに上白沢から同じ相談を受けていたことを教えてくれた。
あくまで自称現人神本人の口からやめると言わせたかったらしい。
ならば予め連絡して欲しかったのだが、駄目な場合は私が命がけで自称現人神と交渉させる
腹づもりだったらしい。 勘弁して欲しいと思う。