△月 □日  No482 幻想郷におけるお歳暮


お歳暮の季節が近づいてきたので、実家とボスの家など普段お世話になっている
ところへギフト発送予約をとってきた。 会社でお世話になっている人は
概ねお酒を送ると喜ばれる。


幻想郷でもお歳暮の風習は存在する。 というわけで幻想郷のお歳暮ギフト出荷も
最盛期となっている。もっとも幻想郷におけるお歳暮の意味合いは我々のいるところとは
やや違ってくる。


幻想郷におけるお歳暮とは祖先の霊を迎えて祀る年越し祭り「魂祭り」の際に
嫁いだものや分家した者も家元に戻る際、正月道具や近所に配るための食べ物を持ち寄るものだ。
よって贈る物は我々の知るお歳暮ギフトよりはいろいろなバリエーションが存在する。


霧雨店などへの納品がほぼ完了し、ほっと一息といきたいところだが
当然のことながら幻想郷で普段からお世話になっている人や妖怪たちにも
お歳暮を贈らないといけない事に気づいた。


少なくても、上白沢や香霖のところ、霧雨店にも送らないといけないし、薬屋や
エレン嬢、阿礼乙女のところにも贈らないといけないだろう。


何を贈っていいのかわからないので魂魄に相談したらとりあえず上白沢と
阿礼乙女のところには書き初め用の半紙と硯のセットを贈ればいいと
アドバイスを貰った。 ところがそれなりの硯を買い求めようとしたら結構いい値段が
ついていて驚いた。 結構高くつくかも知れない。


薬屋は普通の贈答品を贈っても反応がないので、趣向を凝らさないといけない。
姫様の趣味である盆栽を育てるための肥料と剪定鋏を贈ることに決定する。
香霖やエレン嬢の場合はお菓子の詰め合わせを贈る。月並みだが一番喜んでもらえる。


一通り選び終わって、里香女史に手続きを代行してもらおうとしたら
偶然閻魔様の姿を発見した。 閻魔様にもお歳暮を贈らないといけないことを忘れてた。
どうしても贈る物が思いつかないので仕方なく閻魔様に聞いてみたら
扇子一個で良いという。 重要なことはそこに込められた想いや魂だそうだ。
目から鱗が落ちる気持ちであった。