□月 ○日  No511 それぞれのクリスマス


クリスマスになると社内では負け組勝ち組の噂が飛び交いだす。
うちの部署でも何人かはクリスマスに合わせて休暇を取っている。
ただし主要メンバーはクリスマスの予定なし。
暇なので霊能局の人と適当に電話する。
彼氏がいそうな小兎姫も予定がなかったことには驚いた。
霊能局の人は彼女のことを「メスゴリラ」と言っていた。
あちらはあちらで何か事情があるのかもしれない。


魂魄はサンタのコスプレをして風見女史のところに出張するらしい。
「今年もサンタさんが来るのかな」とまるで夢見る少女のような表情で
プレゼントをおねだりするらしい。
魂魄はある意味恐怖の表情と言っている。 あまり想像したくない。
今年は抱き枕をプレゼントするそうだ。


サンタの衣服は赤が基本だと思っていたのだが、魂魄のサンタは単なる防寒具を
着用しているに過ぎない。 赤は某飲料メーカーが作ったイメージカラーだそうで
幻想郷に持ち出すと意味合いが変質するらしい。


シフト表を見たら朝倉がなぜか休暇になっていた。 
ロンリークリスマスと聞いていた朝倉がなにか予定を立てているのかと思ったが
案の定休日出勤してきた。 休日マークは彼女なりの意地らしい。


この時期になると閻魔様からの事務職員の動員依頼が舞い込んでくる。
毎年この時期から死者が増加するかららしい。
多いのがお酒を飲み過ぎて、道路に寝てしまっての凍死や、
借金で首がまわらなくなっての自殺、
そしてクリスマスならではの展開などなどである。
閻魔様が彼女に振られたからと言って私に求婚しても困るとぼやいていた。
相変わらずコメントに窮する発言をする閻魔様である。


ヴィヴィットが居残り組のためにとケーキを作っていた。
某ホテルのパティシエの動きをプレイバックした物らしい。
味見をしたら美味くて驚いた。オーブンを取り寄せての料理だけにかなり本格的である。
ローストチキンなど各種オードブルも揃えてちょっとしたクリスマスパーティを部内で行った。
考えてみれば女の子が多い部署でクリスマスパーティができるのだから
かなり恵まれていると思う。
これで特定の彼女がいればよいのだが、多くは望むまい。