□月 ○日  No512 小兎姫の日記


朝 代わり映えのしないスタート。 頭の寝癖が取れなくてしばしもがく。
トーストと目玉焼きを口の中に詰め込んでから出勤。
街の風景はクリスマス一色に染まっているが、私には知ったことではない。


部下に一通りの指示を与えてからダイブ。
部下のひとりがクリスマスに予定がないのかとからかっていたが無視した。
昼、アポイントを取った稗田家の当主と会食。山菜を用いた汁物をいただく。
私には少し薄味だが慣れればちょっとは痩せられそうな気がする。
同時に情報収集。お互い腹の探り合い。食えない人物だと思う。


空いた時間に茶屋で団子と緑茶をいただく。
空には雪がちらついて熱いお茶と外気温のコントラストがとても心地よい。
今年の新米を使った団子はとても美味。ほっぺたが落ちそう。


夕方 兎の頭領と会合する。
阿礼乙女と違って気まぐれの要素が少ない。あの兎はとても計算高い
だからこそ私と意見の一致を見やすい。
もしかすると私の名前に「兎」の名前が冠してあるのも理由の一つかも知れない。
永遠亭と呼ばれる建物で何が起こっているのかを聞き出そうと試みたが
すんでの所で躱された。出入りの業者からの情報収集に頼らないといけない。


夜、博麗神社の様子を見に行く。
相変わらず妖怪だらけの場所。でも堂々と歩いていれば殆ど害はない。
彼らはただ単純に博麗神社に居座っているわけではない。
むしろ博麗の巫女を護るようにそこにいる。まるで妖怪を要素にした巨大結界に見える。
博麗の巫女は日を追う毎に力を増している。
最近は彼女の動きを目で追いかけるのが難しくなった。
おそらく今の私には彼女を以前みたいに止めることは無理だと思う。


局に戻ったら大半の人が帰宅していた。机の上にはケーキとシャンパンが置かれていた。
誰がやったか分からないけど気が利く人がいるなと思う。
ケーキがあるのなら間食しなければよかった。
部署の明かりを最小限にして決裁の書類数十枚を片付けた後、
私はケーキを一緒に食べてくれる旧知の友人を呼んだ。 彼女もフリーのはずだ。
休日出勤したという彼女の愚痴に付き合うので筆を置くことにする。