□月 □日  No641 月到達祝賀会 到達してしまえばこっちのもの


博麗の巫女月到達祝賀会。
無駄に莫大な予算を賭けて作られた紅魔館製三段ロケットが月に到達したらしい。
ボスはこれで目的の8割は達成されたと喜んでいた。


もちろん博麗の巫女が月で起こっている異変を解決したわけではないし
政治的になにか決着がついたわけでもない。
しかし博麗の巫女が月の都に到達することは、一つの重要な意味を持っているらしい。
朝倉はそれを「具留化」と言っていた。


幻想の世界のものは常に姿形が変動するものらしい。
しかし博麗の巫女によって観測行為が行われると、変動の幅に楔が打ち込まれてしまって
変動幅が減ってしまうという。
博麗の巫女の強さの秘密であるこの隠された能力は、博麗の巫女が定めた常識の中に
相手をとどめてしまう事になり、敵の能力を大きく制限する。
という理屈なのだが、今いちピンとこない。
観測行為そのものが攻撃という不確定理論の延長とも思える。


さて、今日の朝倉と里香女史だが、胸元を見せる必死仕様のドレスを着込み
これまた必死に愛想笑いを振りまいていた。
その姿を閻魔様が、なんと破廉恥な服装だと毒づき。 存在自体が破廉恥な死神がそれを窘める。
そんな閻魔様だが今日はなぜかすらりとした体型をしていてびっくりした。
閻魔様ほどの力があれば外見の一つや二つ変えることなど容易いのだろう。
単に着ていくドレスが無かっただけとも言えるようだが。


一方冴月はかなり難しい表情をしていた。
訊くと隙間妖怪が鴉を一匹月の都に送って返り討ちにあったという。
そのことは私自身も知っている。
問題は鴉が利用した結界突破ルートは本来ロケットが通るためのに冴月が導き出した道だったということだ。
しかも隙間妖怪はわざわざ自分はここに居ますと言わんばかりに全センサーをアクティブにしていた。
そして案の定門番に撃退されたと言うのである。
なぜ冴月が月の結界の突破方法を知っているのか置いておいてそれが事実なら、あらかじめ
そのような運行計画をとっているロケットの動きに支障が出ることは避けがたいだろう。
これから何事もなければよいのだが。


列車は幻想ミールとともに月周辺を巡回しながら様子をうかがっているらしい。
時たま補給物資が別の列車で運び込まれているそうだ。
宇宙に飛びだったスタッフ達もあちらで祝賀パーティを開いているらしい。
通信をしてみると皆元気そうで何よりだ。


今日は普通に祝賀ムードを楽しみたいと思う。