□月 ●日  No676 ある仕事の風景


最近妖怪からの無茶な注文が増えている気がする。
原因は自称現人神一味。連中に掛かると同等商品で誤魔化すことができず本当に困る。
お陰でやりくりが色々と大変だ。


うちの会社の業務フローを差し支えない程度にちょっと明文化してみる。 
うちの会社の場合、注文を受けるとその商品を特定して定価を算出。
取り扱っている商社に発注書を送って、商品の納期確認、列車管理をしている部署に連絡して
梱包サイズと重量を連絡。 幻想郷現地での受け入れ準備をする。
検疫部で幻想郷送りにして安全かどうかを調べて、各家庭にお届けする。


商品の仕入れは小売店に並んでいる額よりもずっと安くできる。
ただし幻想郷で使うような古い規格の商品類部品類はあまり値引きできないのが実情だ。
そこに一味はメーカーまで指定してくる。
するとそれだけで価格が30%は増えてしまうのである。 とても迷惑である。


たとえば妖怪たちはとても飽きっぽい。 
また高性能な商品があっても使いこなせない場合が多いので、それなりの商品を送ったり
売れ残った商品を送ったりする。
それが通じないからと言って必要以上の機能なんてあったところで使わないのだが、
当人はそのメーカーの商品を持つだけで満足しているのだから仕方ない。


それでも予算枠が厳しいときはどうするか?
絶対北白河に話を振らない。降ったらその時点で終了である。
この場合はまず朝倉など割と大雑把な上司に話を振っておいて口頭で許可を取ることが有効だ。
その上で申請書を出したときに、朝倉の許可を得ておいたと言えば北白河も黙ってくれる。
よくある会社の風景といえばその通りである。


今日隙間妖怪が会社を視察して色々と話をされたらしい。
その中で自称現人神の話が出たそうだ。 なんでもお金の使いすぎなので節約するようにとのこと。
商品のメーカーを指定してきたらどうするのだと隙間妖怪にしぼられたボスに尋ねたら
交渉して同等品にしてもらえとのこと。
まさか私に死ねと言うのだろうか。


仕方なしに自称現人神一味と交渉することにした。
冷蔵庫を買うというので、これで十分といくつかの冷蔵庫を提案したら、
自称現人神、おねえさんのほうを向いて「ほらやっぱり無理でしょう」と言うではないか。
どうやら本当に物欲まみれになっているのはおねえさんらしい。


「無理が通れば道理が引っ込む」とか無茶なことを言うおねえさんを無視して
違うメーカーの冷蔵庫を入れることにした。
機能は全く同じだからそれくらいいいだろう。
機械を交換しようと思ったら妙に重い。 中の者を捨てろということで冷凍庫をあけると
何故かケロちゃん帽のカミ様がカップアイスを抱えたまま冷凍庫の中で硬直していた。
サーカディアンリズム調整につきいじるなと張り紙がなされていた。
世話の焼ける連中だと思う。