□月 ●日  No691 goodbye safe house


結局私のセーフハウスは小兎姫に占拠されてしまった。
世話と称して明羅女史や里香女史まで入って来て酷い有様だ。
武器は物色されるわ、部屋の内装を勝手に変えるわ、香霖堂で買ってきたありんげ本を
発掘されるわ散々だった。 元から女を入れる為に作ってないんだコンチクショ。


きっと戻ってきたらもはや自分の家じゃなくなっているかもしれない。
里香女史からどうせ寮があるのだから別にいいだろうと言われた。
確かにセーフハウスを造る費用も朝倉が出してくれたものだからそうかも知れないが
違う人が入ると分かっていたらもっと入れるモノを厳選する。


閑話休題


外の世界に戻って何気なくニュースを見たら、小兎姫がテロ犯ってことになっていて
おまけに死んだことにされていた。思わずコーヒーを吹いた。
社員の反応は薄い。ちょっと前のニュースだそうで最初は話題になったようだが
すぐに他のニュースに押し流されてしまったらしい。


朝倉にも最初はテレビ局の取材が来たそうで色々と聞かれたそうだが、悲しそうな振りをしつつも
無難な受け答えに終始していたようだった。なぜか精一杯おめかしして相変わらず必死だったらしい。
しかし顔はモザイクがかけられ、声質も変ってしまっていたそうだ。当然である。
メディアもあっという間に興味を失ってしまい今ではテレビにすら出てこない。
朝倉に小兎姫の無事を報告する。
自分に使った手口だから問題ないと言っていたがどういう意味だろうか。


ともあれ私は普段通り仕事をすれば良いらしい。
小兎姫は当面幻想郷で暮らすことになるようだ。
彼女は死んだことになっているが元々「小兎姫」の名前も偽名だし、
現在の戸籍自体、偽造した代物だと言うことなので問題はないらしい。
ただ一つ言えるのは博麗の巫女が月に行ったことによりここの情勢が少なからず
変っているということだ。


玄爺が会社に戻っていたので適当に談笑。
月の兎軍団を鍛え直しているらしいのだが、かなり困難を極めるらしい。
ちょっと目を離すとすぐにサボるし、気分屋な上、少し叱るだけですぐに落ち込んでしまう。
今まで教育をしていた奴は何をやっていたんだというのが、彼の弁だった。
教育者から改革しないと駄目かも知れないということだった。
大変な話だ。


私もしばらくは幻想郷メインでの仕事になりそうだ。
実家に当面帰らないことを告げて、次の仕事に向かうことにする。
紅魔館への物資輸送が再開された。
またメイド長に会わないと行けないと思うと気が重い。
誰か代わってくれ。