□月 ●日  No699 幻想郷的設備屋稼業


八雲商事部材倉庫。この中に幻想郷生活に欠かせないもう一つの商品が置いてある。
その商品は、恐ろしく地味である程度大きなホームセンターにしか置いてない。
それは異型ソケットである。


幻想郷の規格は古い規格がそのまま息づいているために、外の世界から物品を持って行くと
接続端子や配管の口径に至るまで合わないことが多い。
そこでその間を埋めるために異型ソケットが当社にはたくさん置いてあるのだが
これがきわめて始末が悪い。


とにかく種類が多い。 しかも幾つかの種類をセットで使うしかない。
よく使うものは一つの袋に入れておいてセットで使う。
そして余った部品は部品箱に入れる訳なのだが、この中身がえらくカオスなことになっている。
甘粕から受け継いだこの箱はいざとなったときの命綱だ。


香霖堂にも沢山の異型ソケットが置いてある幻想郷の外の世界にある物品を
使えるようにするために振り替え処理をしたものだ。
ところが異型ソケットの使い方を香霖が理解できていないので凄く困る。
これは無理もないことだ。 幻想入りするようなものだ当然マイナー規格ばかりで
覚えろというのは無理だ。 私自身カンニングペーパーがなくてはやってられない。
それでもかなり無理だ。
配管が合っていても油断は禁物。きちんとテープを貼って水漏れを防がないと
悲惨なことになる。
怖い顔をしたメイド長が後ろに立っている中作業したら確実に心臓が縮み上がる。


幻想郷で文明の利器を使うのは糞面倒だということが分かればそれでいい。
香霖堂の商品を例の神社の連中が買い集めたときはかなり悲惨なことになった。
結局明羅女史から泣きが入り、応援のために数人係でソケットを合わせまくったが
結局無理で別の商品を入荷したこともあった。


あとで会社の洗面台を交換したら余りに簡単過ぎて泣けた。
今はいい時代だと思う。
例の神社のおねえさんからから設備屋の商売が出来ると言われて苦笑した。