□月 ●日  No905 本当は怖い妖精たち


数人のけが人を転院するため列車を走らせる羽目となる。
ヨーロッパ系のどこかの国の軍隊の人間だと思しき人たちで
体中に弾幕を浴びたせいか非常に危険な状態となっている。
どうせろくに対抗措置をしないままに幻想郷に入った連中なのだろう。


本来なら薬屋に処置して貰いたいくらいの状況なのだが
奴さんが手前でどうにかしたいと申し出てて来たので保証は致しかねると
前置きした上で運ぶことにした。
一体誰に襲われたのか、特徴だけでもと思って尋ねたら白い悪魔と言われた。
この時期そういう特徴を持つ妖怪や妖精と言えば種類が限られる。
リリーホワイトだ。


今日はリリーホワイトが出没し始める日である。 春の訪れを告げる妖精リリーホワイトだが
危険度は思いの外高い。捕獲しようとすると確実に攻撃される。
問題はその抵抗振りで、風見女史などの大物妖怪でさえでも手を焼く代物である。
彼女には光学迷彩も殆ど効かず弾幕を確実に当ててくる。
阿礼乙女のレポートで危険度が低く見積もられているのも危険すぎる。
勘違いした馬鹿が大けがをするケースが頻発するのだ。


去年は紅魔館でリリーホワイト捕獲しようと試みていたようだが
本来ならやめるべきだ。 もっともあそこくらいの連中ならそれくらいの危険のある遊びじゃないと
緊張感がないのかもしれない。 


幻想郷で花が狂い咲きした時にもリリーホワイトが大暴れしたことが記録に残されている。
西行妖の時だって結構暴れたことも知られている。
そんな物騒すぎる妖精が安全だとか友好度が高いとかと言われるとたまらない。
ちょっかいを出さなければいいのだが、それ以前にこう言うべきだ。
「君子危うきに近寄らず」と。
今度阿礼乙女に苦情をだすとしよう。


具合が悪いことに搬送中にけが人一人が亡くなった。
あるところに行けば強制的に連れ戻すことができるのだが、ややこしくなると言うことで
やめることになった。 専門家以外は幻想郷に触れるなという事例を作るつもりなのだろう。
こういうやるせない仕事は勘弁して貰いたいものだ。


妖精と言えど対抗措置なしで変に接するのはやめるべきだと警告したい。