□月 ●日  No906 腐れ縁


最近の浅間。
風見女史と仲良くなったらしい。 あの難攻不落である風見女史を落とすとはなかなかの逸材だと思う。
私なんかパジャマ姿の風見女史を起こそうもんなら全身武装してジュラルミンの楯を持っていたって怖い。
こういう時に浅間みたいな人材がいると大いに助かる。 
浅間からはビビリすぎと言われているがそんなの関係ない。 命あっての物種というじゃないか。


風見女史が浅間と仲よくしているには訳がある。
浅間が制御するコノハナサクヤヒメは風見女史と腐れ縁的な関係を持つという。
朝倉の話によるとコノハナサクヤヒメは浅間山噴火の原因を作り挙げ句、飢饉まで引き起こした前科があるのだという。
幻想郷はただでさえでもギリギリのバランスで運営されているのにまた大暴れするのを風見女史は一番畏れているのでは
ないのかというのである。


だがこれでは何故、浅間伊佐美が幻想郷に行けるのかという説明になっていない。
そこを朝倉に突っ込んだらボスにも色々考えがあるのだろうとはぐらかしていた。


今日ちょうど二人で昼間から酒を飲んでできあがっていたところを見計らい
風見女史にその辺の事を尋ねると、それは誤解だと言っていた。
その当時、地球の裏側にあるアイスランドで同様の噴火があったと言うのである。
北半球に冷害を生んだこの事件はフランス革命の原因となったという。


それで全ての合点がいった。 浅間様(伊佐美ではない)は飢饉の原因と思われ祟り神として崇められてしまった。
真実を知っている風見女史はコノハナサクヤヒメに負い目があるのではないか。


風見女史に言わせれば今は色々と保険があるので楽なのだという。
地球規模の寒冷化も人間がばらまく温室効果ガスで少しは和らぐし、今の幻想嬢には守矢がいるのだ。
便利な世の中になったもんである。


そんなことを知ってか知らずか浅間は飲みにケーションの勝利だと言ってガッツポーズをしていたが
飲み比べでやりあえるのはせいぜい鬼くらいなものじゃないかと思うのである。