□月 ●日  No913 二重スパイ

 
幻想郷には動く人形は沢山いる。 顕界にもいるにはいるのだが大抵気味悪がられて
即退治されてしまうようだ。 髪が伸びるくらい許してやれと思う。
こういう人形はへそを曲げると質が悪いから幻想郷に送ってしまう。
中には第二の人生(?)を見つけて結構平和に暮らしている奴らもいる。


最近、メディスンの衣服がすすけているので一体何事かと思っていたら
最近、彼女はよく地下に潜っているらしい。
それも沢山の花束を持っていると放蕩妖怪から聞いた。
気になって天狗の情報網などを駆使して調べてみると蜘蛛妖怪のところへ行っているらしい。


蜘蛛妖怪と話が出来るチャンスは結構あるのでその辺のことを聞いたら
ウイルスも生き物だからクスリ対策をするのは当然と言われた。
まあ言わんとしていることはわかる。
特に薬屋がウイルスを根絶やしにするようなクスリをガンガンつくるので
対策することになってしまったらしい。 どうやら病気の世界も単純じゃないようだ。


蜘蛛妖怪に言わせれば、病気の根絶はその病気が復活したときに対処方法がなくなるという
意味であり非常に危険だという。 生き物は病気に対して抵抗力を持つ必要があるというのが
彼女の持論なのだろう。 
ワクチン療法だってそうだ。 ちょっとしたウイルス類を入れて抵抗力を高めるのは
身を守るのに必要なことだという。
重要なのは感染しないことではなくこじらせないことだというわけだ。


帰りがけにメディスンの姿を発見したので、何をしているのかと尋ねたら
蜘蛛妖怪が新しい病気を生む 薬屋が新しいクスリを作るという
一連の流れが面白くて両方に協力しているようだ。
あとで二人にどつかれるのではないかと思いながら 地下を後にした。
とりあえずメディスンの修理機材一式と人形遣いのアリスに工事依頼をかけておいた。