□月 ●日  No926  懸賞金


自称現人神の発見に懸賞金が付いていた。 本人たちはひっそりと幻想郷へ行ったつもりなのだろうが
建物ごとの移転という派手な行動をしていたら当たり前である。
消えた当時は数日間ワイドショーで取り上げられた。 冴月が色々処理に手間取ったと言っていたが
立ち入り禁止を守らなかったマスコミが酷い目に遭ったと記憶している。


私は「自称」現人神と言っていたがどうも現人神と言っていたのはもっと別の連中だったとうことも分かってきた。
彼女を利用していたのはその手のお偉いさんだったようだ。
でなければ法外な価格の懸賞金が付くわけがない。


にしても、どこかのアホが本当の居場所を教えかねないような額である。
それだけ彼女の価値を認めていたということかもしれない。 居なくなって初めて分かる大切さと言ったところだろう。
久々に小兎姫にあったら、自称現人神のことで警告があった。 
彼女を売る心配はないだろうけどと念を押されたが、金を出している連中は今特定している途中だと聞かされた。


何やら雲行きが怪しいので朝倉に相談したら、最悪ボディガードになるまたはつけると言われた。
幾ら最強クラスの魔法使いとはいえレディにそう言われると返す言葉がない。
それだけ朝倉が強いとも言えるのだが、彼女だってどうにかするのは限界があるだろう。
聞けば北白河たちも身の保全を図り始めているという。 ヴィヴィットばりに武装したるーことが彼女たちを
守っているらしい。


朝倉は今回の件は自称現人神よりむしろおねえさんに原因があると考えられているという。
何でも彼女は軍神であり、実際に海防の世界では名が知られた存在であるらしい。
それが現代に至るまで彼女たちが幻想郷に行かないで済んだ理由である。 と同時に平和になったからこそ
あの神社の信仰が薄れていったとも言える。 
ところが世界情勢が緊迫化するにつれてあの神社に再び利用価値が生まれたと言ったところだろう。


もちろん彼女たちが幻想郷に行ったとしても、分祀されているおねえさんの端末は生きているのだから
きちんと信仰を保っていれば遠隔操作で奇跡を起こすことは可能である。
だがこれまで直接彼女たちの声を聞くことができただけに、半ば気まぐれに左右される奇跡を期待するのは
非常に怖いのかもしれない。


自称現人神もつくづく不幸な人物だと改めて思った。 
現代において信仰されるほどの力を持つことは決していいことではないことの好例である。
案外、信仰のためと称していながら本当は自称現人神を守る為に幻想郷に行ったのかもしれない。
信仰が一度リセットされるリスクを背負ってまでも守らないといけないものかもしれない。


ただ、今回の一件でいいこともある。 会社に泊まり込んで社食を利用することができるようになったからだ。
しかも自炊ができないからと割引まで受けることができるようなった。 実は結構美味しい事態なのかも知れない
なんて周囲に漏らしたら朝倉にアホかと言われた。