□月 ●日  No925 移民団


ガーゴイルなど西洋妖怪が幻想郷に行くとどうなるか。
吸血鬼がいけたのだからということで最近幻想郷に西洋妖怪が移り住むケースが頻発している。
一応、考え直すようにとアドバイスは欠かさない。
第一にやつらは顕界で十分すぎるほど仕事が有る。
割と悲痛な理由で幻想入りする奴らとは違う。 


だがこのところの不景気で彼らも顕界で生活しづらくなったらしい。
そこで吸血鬼がすでに幻想郷で成功しているという噂をききつけた妖怪一派が幻想郷への門を叩いた
そんなところだろう。
アドバイスをすると人間の癖に度胸があると褒められるのはいいのだが、実際問題行っても碌なことに
ならないのだからクレームが来る前に説明するのが義務という物ではないかと思う。


八雲商事現地法人スフィンクスが入社してきたと聞いたときには唖然とした。
顕界で人間のふりをして働いていたのだが、やはり不景気でうちの会社に転職したらしい。
すぐに河童と意気投合して延々と話をするようになった。
こういった妖怪は知性が高い故に幻想郷にすぐに順応する。
異変を起こすこともなく人畜無害である。
同様のパターンで最初に取り上げたガーゴイルたちもいい仕事をする。
主に職場の警備を担当してるのだが、元の仕事が仕事だけに職務に忠実である。
妖精たちの悪戯に対してもきちんと対応してくれるのでとても重宝している。
人間の姿になれるガーゴイルは警備員の仕事をして生計を立てているという。
治安を気にする現代ではガーゴイルの職場はいつも困らないのである。


だが困った妖怪が侵入するケースもある。
妖精の一匹が衣服を溶かされてあられもない姿で逃げてきた。
仕方ないので衣服を渡して話を聞くとべとべとした奴が現れて大迷惑しているという。
現場に行ったらすでにメトセラ娘が交戦していた。 というか焼却していた。
こいつの名前はスライムである。 スライムと言えば顕界でキャッチーな姿に変貌した一派が
結構美味しい立場になっていると聞いていたが、昔ながらの外観を残すスライムが
何を考えたのか幻想郷にやってきたらしい。
気持ちは分からなくもないが、連中はなんだかんだ言って映画に出たりして金は持っていた気がする。


そして案の定気絶?したスライムの持ち物を見てメトセラ娘が悶絶した。
「なんて私よりいいものをもっているの?」 ごもっともである。
奪ったら強盗だろと突っ込んだら ごもっともと言われた。
こいつらがどうやって暮らすのかかなり気になるところではある。
とりあえず、メトセラ娘を畏れているスライムにとりあえず、黒い魔法使いには気をつけろと警告することにした。
これで連中も静かに暮らしてくれるだろう。


願わくば面倒を起こして博麗の巫女が出張るのだけは避けてもらいたいものである。