□月 ●日  No927 さとりのカード


顕界で色々あったが、仕事は仕事というわけで今日は地霊殿の主人のところに品物を送る。
封筒に入っていたのは白紙スペルカードの新バージョンとのこと。


心配事がある状況下で心を読まれるのはちょっと辛い。
相手に気を遣わせてしまうからである。
しかも地霊殿の主人のよく知る人物とあってはなかなかきつい物がある。
結局、もし何かあったら協力は惜しまないと言って貰えた。
心理戦に持ち込まれたとき彼女の助けを借りればとても心強いのは確かだ。
問題は協力体制だが、これ以上は何も考えないことにした 鬱になる。


地霊殿の主人が持つスペルカードは朝倉が使用している物と互換性がある。
実際殆ど同じらしい。 地霊殿の主人は相手の記憶から弾幕情報を生成する能力を持つのだが
朝倉が利用している相手の能力を再現する機能とあまりかわらないからだそうだ。
驚いたことに地霊殿の主人は朝倉のことを知っていた。 
カードの製造元だから分からない筈がないかと思っていたが、昔の彼女を知っているようだ。


最初の月面戦争から帰ってきた時に真っ先に月の技術力を利用しようと提唱したのも朝倉だったこと。
初期のスペルカードの実験に付き合ったことなどいろいろ思い出話をしてくれた。
成る程確かに二人の戦い方はかなり似通っている。
普段の行動を話したら、相変らずだと言って笑っていた。
朝倉は地霊殿の主人の読心術に対してある程度抵抗する能力があったらしい。
もっとも実際に抵抗したのは殆ど無くて、開けっぴろげで話をしていたというから
それほど精神遮蔽の能力はどうでもよかったのかもしれない。


帰り間際ペット一号からあんまり新型カードを渡さないでくれと言われた。
試射に巻き込まれているようだ。
ペットが使うスペルカードを再現するのは確かにテストにはもってこいである。
都度弾幕をぶっ放されると大迷惑というのは本当にわかる。
どちらかというと掃除しないといけないという面倒さがたまらないようだ。
灼熱妖怪はわりと楽しんで避けているらしいが、どっちにしろ大迷惑だろう。


程なくして地霊殿天蓋のステンドグラスが割れた音を聞いて
とりあえずかかる費用を見積もって鬱になった。
なんとかならないのだろうか。