□月 ●日  No928 東方星蓮船記念 幻想空中戦艦


幻想郷でよく空を飛ぶ大型の乗り物が無いかと聞かれることがある。
巨大飛行船が幻想入りになっている昨今、無いと言ったら嘘になるが、あまり効率が良くないし
大型の乗り物を飛ばして妖怪にぶつかったら大事故になると言われている。
ぶっちゃけ 幻想郷にある既存流通で巨大な空中輸送手段を用いるのはナンセンスすぎる。
要は費用対効果と言う奴だ。 
小口の品物を届けるのなら妖怪の飛脚便に送ってもらえば済むことで
多少の重量物でも妖怪の怪力で概ねカバーできる。
むしろ雇用の観点からこうした乗り物は敬遠されてしまうのだ。


とはいえ全く作らなかったというわけではないらしい。
冴月から河童が巨大な乗り物を造ろうとしたという話を聞いて
その場所へお邪魔してみることにした。


その河童に話をしたところ、目を輝かせながら図面を用意してくれた。
自分の好きなものを評価して貰えると聞いて上機嫌になったようだ。
見せてくれた図面は まさに空を飛ぶ巨大な戦艦であった。


この乗り物、月に妖怪たちを大量輸送するために考えた代物であるという。
結局、博麗の巫女のロケットが採用になってこの話はお流れになったらしい。
河童達は居住スペースも戦闘能力も上だと主張していたが
カミの能力を借りられるのは大きいよねと、苦笑いをしていた。
ロケットがあのあとどうなったかは知らないらしい。 


神の力を借りない、すなわちなにか別の推進力で動くと言うことだ。
一体何で動かすのかと聞いたら、事実上の人力であった。
動力伝達デバイスとかいてあるそれは、スポーツジムでよくみかけるあの
自転車こぎ機そのものであった。


まさかこれをずっと漕いでないといけないのですかと尋ねたら。
さも当然のようにうんと頷いた。
こんなものが採用になったら確実に暴動になっていただろうと思う。


嫌な予感がして砲台の図面を見たら謎のカードスロットがあった。
何かと尋ねたら、ここには幻想ポジトロンライフルが搭載される予定だったが
諸般の事情でスペルカード砲が搭載されることになったと言われた。
スペルカードは安全装置として数分しか弾幕を生成できない仕組みを採用しているが
この作りだと、一時間も戦うことができないだろう。
まことにアホすぎる代物だ。


結局金がかかりすぎるということで隙間妖怪から没と言われたこの乗り物。
河童は、これならヴァンパイアの主人も狭苦しい想いをしないで済んだんだと
主張しているが根本的にそれ以前の問題と言わざるをえない。
冴月がカミが乗る移動手段なら別の方法があると言っていたから
どこからもニーズがなかったのだろうと思われる。


とりあえず見なかったことにして河童の工場を後にした。
なんだかなあ。