体調が悪い。
日頃の無理が祟ってか、酷い頭痛に悩まされている。
仮眠をとればある程度軽減されるが、根本的に治るわけではない。
薬の飲み過ぎで胃が荒れているせいか、胃も重いときている。
同僚の一人も今日は体調が悪いらしい。早退を勧めたら大丈夫だと言われたが
個人的には早く帰るか、元気な振りをして欲しい。
これは精神論的な話だが、実際客を前にすれば緊張感のためか体がきっちり動く物だ。
だが幻想郷での仕事はそれだけが理由ではない。
体調が悪い素振りを見せることはとても危険なのだ。
違う意味で。
幻想郷の妖怪は結構お節介焼きが多い。
もし、普段からお世話になっている人が体調不良を訴えたらどうにかしてやりたいと
思うのは割と当然のことではあると思う。
が
彼らが何とかすると、だいたい碌でもないことになる。
もちろん無害な奴もいる。
メイド長や例の神社の連中、上白沢や稗田家などは安心できる。
上手くいけばきちんと介抱して貰える。
だが危険なのは民間療法に走る奴だ。
妖怪たちは生活の知恵としていろいろな民間療法を知っている。
それはいいのだが、それを無理に試そうとするので酷いことになる。
たとえば、風見女史の場合は、ハーブでの治療を試みてくれる。
これは結構快適なのでよい。
鬼娘に卵酒を振る舞われる場合。絡み酒で酔っぱらうこと請け合いである。
体にいいのだろうが限度というものを知らないケースが多い。
薬屋や蜘蛛妖怪のように病気がウイルスなどで発生すると判っているタイプでは
まるで人体実験のような有様になる。
最悪人間辞めさせられるリスクまで背負うことになる。 それはそれで
スーパーヒーローになれるチャンスらしいが、そうまでして治療したくない人が
大半ではないだろうか。
カミ様や閻魔様の場合も同様になにか体を弄られる。
また、美鈴女史も色々危ない。 なんか技を掛けられてしまうという。
もっともその後体が幾分軽くなるという報告があるので人畜無害だと思いたい。
やはり最悪なのは、病魔を追い出すと称して祈祷の上、
相手を殴る蹴るの暴行に走る奴だろう。
そういうことで私自身、客の前ではどんなに体調不良でも絶好調と言うようにしている。
とあるプロ野球選手のようであるが、そう言うことによって体が大分楽になるのは確かだ。
病は気からというが案外そうなのかも知れない。
赤と白のアレに棒で殴られて、怪我して帰ってきた同僚を見て
幻想郷は恐ろしいところだと身に染みて感じる次第である。
なーむー。