幻想郷で大規模な土木工事。川の治水の為鬼たちや職人たちが集い堤防を作ることになった。
堤防の設計は経験則から行われることとなったが、現代設計と照らし合わせても殆ど遜色ない内容で
毎度毎度驚かされる。
事の発端は秋姉妹からの要請。 耕地面積をある程度増やし食糧自給率をすこし上げようと言う話になった。
顕界で大不作が予測されるため、すこしでも幻想郷内で食糧を自給する必要があるというわけだ。
勿論うちの会社で食糧の買い付けはきちんと行われるものの、政府から買い付けを制限されると
如何ともし難い場合がある。
うちの会社でも材料の供給が始まった。霊能局からの妖精で幻想郷に貸しを作って欲しいという。
列車も専用車両をチャーターして準備は万全だ。
タイミング良くと言ったら語弊があるが顕界では不況の影響で建築資材が安価になっている為とても助かる。
鬼娘は建築が得意と言われるが、土木に関する知識も凄い。
そもそも鬼たちは昔は畑や灌漑などを人間たちに代わって積極的にやっていた過去がある。
地獄が鬼たちに開放されたときもとてつもないスピードでまさに地獄絵図を脳天気な風景に変えた過去もある。
彼らは力持ちで重機を用いなくても十分な堤防を作ることができる。
よく鬼たちは人間に被害を与えているイメージがあるが、実際はそうではないというわけだ。
ここでふと疑問が生まれた。
保守管理は一体誰がやるのか。と言うことだ。 答えはプロジェクトメンバーの中にいた。
そこには永遠亭の姫がいたのである。 永遠亭を守る為の技術をそのまま堤防に施すのだというのだ。
一体どのように施工するのかと気になって見ていたら、セメントに入れる水の中に蓬莱の薬を入れるという
荒技を使って吹っ飛んだ。 姫に言わせると自分自身がフラグとなっていざとなったら壊すこともできるように
考えられているという。 まるで月側の勢力に堤防を人質に取られているような気もしたが、
それだけ月人との関係が改善されたとも言えるかも知れない。
できあがった堤防は白く美しく、幻想郷の新しい観光名所になっている。
まさか屋台までできるとは想定外だったが、耕地面積も増えたこれからの幻想郷が楽しみである。