幻想郷に物資を運ぶ仕事。
一応安全は確保されているとはいえ全くリスクがないわけではない。
幻想郷に物資を運び続ける際一番危険なところは何処ですかと聞かれたら博麗神社と即答できるだろう。
まず危険なのは巫女の存在だ。 出来るだけ会話しないで物だけ置いて帰るに限る。
弾幕戦に巻き込まれたらこっちの命がいくつあっても足りない。
よく香霖は堪え忍んでいられると思う。
だが、もっと危険なのは博麗神社の敷地内だ。
幻想郷の外の世界との境界にあるため不意に物が移動するケースがある。
移動は徳利の類から衣服、果ては生き物の類まで様々である。
人体の移動についてはリスクが大きく、色々な変調が起ることも確認されている。
我々が何故列車に乗るのかと言ったら、それは身を守るために他ならない。
生身で博麗大結界を突破するのは色々な意味で危険である。
一例を挙げると、臓器に埋め込んだものが顕界においてけぼりになり
幻想郷についた途端に命を失うケースである。
心臓のペースメーカーなどや人工臓器の類は、うちの会社でも御法度だ。
この日、忍び込んで神棚の物を取り替えようとしたが
ちょうど歪みが起っていたらしくとても危なかった。
妖精たちが外で忍び来む算段を建てていたようだったが、できれば来て欲しくないところだ。
妖精たち幻想の物が顕界に行ったら最悪消滅してしまう。
その前に櫻崎に見つかればまだ良い。
妖精たちは、神社にあった物が消えたり現れたりするのが不思議で仕方ないらしい。
実はこちらで運んでいる場合もあるので気分は複雑だ。
以前、神社内に産業廃棄物がやってきたときは色々泣けた。
撤去したら床が油で濡れて最悪だった。
地震で崩れたお陰で見事証拠隠滅できたものである。
妖精はとりあえず無事中を探索できたようだが、
くれぐれも博麗神社には安易に近寄らないほうがいい気がする。
我々でさえ色々怖いところである。