□月 ●日  No1119 すばらしいおっさんキラー


雲居一輪といえば、発掘船の警備傍ら霊能局の仕事も副業でやっているお姉さんである。
一説では発掘船に近づくため霊能局にいるのではという話もあるが正確なところはわからない。
彼女の評判は色々聞くが、概ねこういう評価となる。
「不倫したい女 No1」と。


大半の人間はそんな馬鹿なと思うかも知れない。
だが、彼女の恐ろしいところは相手を立てながら、自分の意図した方向に人を
持って行ってしまう話術にある。
魂魄がただの美人なら三日で飽きるかも知れないが、彼女なら先ず飽きないだろうと
言うのも分かる気がする。


だからこそ霊能局もうちの会社も彼女を評してこう言う。
「おっさんキラー」と。
あの堅物入道「雲山」すら籠絡させることができるのだから相当の能力だ。
空気を読める竜宮の使いもまた雲山を籠絡しようと試みたが、うまくいかなかった。


おっさんキラーの理由はまだまだある。
地味な衣服に不釣り合いなスレンダースタイルがそうだ。
きちんと鍛えられているからだろうか、スタイルは驚くほど均整が取れている。
幻想郷の妖怪はあまり重力の影響を受けないためスタイルが崩れやすいのではないかと
思うのだがその辺はとても不思議である。


黄昏酒場の有江さんが彼女をどうにかして引き込もうと画策しているのだが
多分上手くいかないと思う。 本人は問題ないだろうが、雲山がセットではとてもじゃないが
接客は難しいのではと言うのが我々の見解である。


個人的には彼女は恐ろしくやりにくい妖怪の一人である。
扱いの難しさは地霊殿の主人を軽く凌駕する。 心を読めるが過信している地霊殿の主人と
話術でその人の本質までも引き出す彼女とは大きな差があるだろう。
ある意味同属性だけに相手の手の内はお互いに判っている。


彼女と接するときは、煽てられて本来の目的を潰されないよう注意したい。
あくまで目的をきちんと見据えて、相手の逃げ場をなくすように切り返す必要があるだろう。
通常、妖怪は基本スタンドアロンで行動するのが常であり、コミュニケーション不全の妖怪も
少なくないが、彼女のように幻想郷の外でも中でも出現できる特殊妖怪は
その基本ルールがまったく通用しない点注意されたい。
そう言う意味ではとても厄介な存在と言えるかも知れない。