□月 ●日  No1246 かわいい嫉妬妖怪


地上と地下世界を結ぶ通路を守ってくれる嫉妬妖怪。
相手の境遇を勝手に想像して妬ましく思っているこの妖怪は
あるときは人間の進歩のために、そしてあるときは争いの種になる。
普段は相当の美人であり、鬼の形相になるには化粧というか特殊メイクに頼らないといけない。
顔を自由に変えられる妖怪が妬ましいと本人の談である。


基本彼女は悪い妖怪ではない、彼女に嫉妬心を感じさせるのはこちらに妙な隠し立てがある事が多い。
彼女の対応は相手が何に対して嫉妬心を感じているのかを見抜いて、先手を打って説明することである。
自分との差が生まれるののならその理由をきちんと合理的に説明するしかない。 
これで大分軽減されるだろう。


さて、橋姫様こと嫉妬妖怪だが彼女には素晴らしい能力がある。
それは縁切りの力である。 好ましくない縁や、悪意に満ちた縁を切ってくれるという。
自らも嫉妬深い彼女だが、多くの嫉妬心を見てきた結果、その本質は他者との比較にあると考え
その他者を忘れさせたり存在を認識させないようになったという。


そこで、彼女にものは試しと、あの人あたりと縁は切れませんかと尋ねてみた。
さらりと「無理」と言われた。 使えない。実に使えない。
彼女にしてみれば、不可能ではないのだろうが、全力でどつかれるのが心配なのだろう。
そのうちの数人は別の人間から頼まれたことがあるそうだが、過去本当に殴られたという。
確かに先に挙げたのはちょっと彼女では手に負えない相手であることは素直に認める。


さて、彼女は所謂幻想入りしていない妖怪と言うことで本来なら地下世界でも何でも
いるべきではない存在だ。 しかし彼女がこのポジションにいるのは月人とのトラブルを避けるためという。
彼女の能力は彼らに度々利用されていたからだ。
それは色々な伝承を分析すればよくわかる。 月人が地上の民に何か与えるたび
嫉妬妖怪の力が利用されてきたのだ。 一時は月人の味方かと言われたらしい。
幻想郷の地下、しかも境界部分に身を隠すのは彼女なりの自衛といえるだろう。


ちなみに彼女だがいざ自分が幸せな気分になるとすぐにたじたじになるので見てみると面白い。
事情を知らない男が、彼女に愛の告白をすると上ずった声であれこれ反応するのが楽しくて仕方ない。
必死に諦めさせようと鬼の姿になるときもあるが、特殊メイクがまともに機能するわけもなく
かわいらしい姿になってしまうのがご愛敬であろう。


もっとも彼女とつきあい出す場合は拘束愛覚悟にされたい。
明羅女史といい、美人すぎるのもなにかと考え物だとおもう最近である。