□月 ●日  No1307 棚卸在庫あれこれ


決算前で支払い締め日の絡みからどうにか商品を現金化したいのはよくわかるのだが、
露骨に納期短縮をしてこられるとかなり困る。
八雲商事は手形決済なしの現金取引である。扱っている商品が商品だけに現金取引の方が
何かと都合が良いのは間違いない。 使用用途に目を瞑ってもらう替わりの仕組みである。


だからと言って無理に在庫をいれられるとこちらのスケジュールが狂う。
ただでさえお彼岸でダイヤが狂いまくっているところに商品物量がふえたせいで
バイトをしている鬼や河童から苦情がきている。
今のところは超過勤務手当で納得して貰っているらしい。


八雲商事の在庫の概念として、幻想郷に持って行っても八雲商事の倉庫に置いてある商品は
税制上課税対象となる。 
法的には幻想郷は慣例的に独立行政区という扱いとなっており、
そこに顕界の施設が入っている場合も現行法の範囲内という扱いとなっている。
幻想郷に自由に行き来できる以上脱税のリスクを減らしたい意向があるものと思われる。


幻想郷にとっては八雲商事の在庫が課税されようとされまいとあまり問題にならない。
幻想郷の資産が減るわけではないからだ。
むしろ巨大な倉庫が幻想郷におおっぴらに建造できるほうが重要である。


そういうことで、この忙しいときに配達作業も膨大なことになってしまっているのだ。
香霖の倉庫がアイテム数過多で悲鳴を上げている。
ただでさえでもゴミを持ち込んで倉庫を圧迫しているところに在庫を持ち込んでいるのだから
無理もない話だ。


当人はいい加減にしろと文句を言っているが、そういう発言はきちんと店内を整理してから
言って欲しいものだ。 一人で切り盛りするには在庫が多いことは認めるので
たまに応援を寄越して居るではないか。
もっともルーコトだから、使用方法を誤ると途端に使えなくなるのだが。
橙を送るよりはマシだと思っていただきたい。 


そういうことを香霖に話したらエレンのマジックショップにいるソクラテスはどうなんだと言われたが
あれは特別製であり、きちんと訓練された橙であり、普通に育てたら八雲の橙と一緒に
愛玩動物の役立たずになるのが関の山である。絶対香霖に橙を制御できるようには見えない。
おおかた放任してそのままどこかへ居なくなるのが落ちである。