□月 ●日  No1477 居る場所が違う人

たまの休日と言うことで本屋で適当に立ち読みをしていたら、ボディスーツを着た綺麗な女性が話し掛けてきて
本気でびっくりする。 見れば誰もが振り返るような姿である。
「私よ私」って言われても気づかなかった。 名前を名乗られて「あー」と叫ぶしかなかった。
彼女の名前は「雲居一輪」雲山の印象がとても強い彼女だが、こうして見ると仏門に入っているのが勿体ないと
思うくらいの美人である。


しかしながら何故彼女がここにいるのかとても悩む。 
ムラサ船長を顕界で案内するときも乗用車を運転していた。彼女の住んでいるところは幻想郷じゃないのか?
素直に疑問をぶつけたら、怪訝そうな顔をされる。失敗したという顔だった。
そう言えば命蓮寺には外の世界からの監視役が常駐していると聞いたことがある。 
まさか、彼女がそうなのだろうか。


本屋の中にある喫茶店で適当に話をすることにする。
朝倉とどういう関係なんだと聞かれて、上司と部下と答えた。これ以上何と答えて欲しいのか?
今度は大師様について聞かれる。 どんな印象なのかと聞かれたから当たり障りのないところを話すと
本音で言いなさいときつく言われてしまう。
ぶっちゃけ彼女は胡散臭い旨を話すと成る程と納得して貰えた。


適当にコーヒーなどを飲みながら雑談に興じていると一輪嬢に電話が掛かってくる。
何と彼女は携帯電話も所持していた。 幻想郷に居る彼女のイメージとは大いにかけ離れている。
それどこか、彼女の言葉に本気で耳を疑った。
なんと彼女は英語で話していた。 よりによってバイリンガルである。


電話が終わった一輪嬢にバイリンガルですかと尋ねたら、英語、中国語、ロシア語ならできるとさらりと言われた。
口をあんぐり開けて呆れる。 すると、彼女は鬼と接触するならロシア語が都合がいいし、西洋妖怪相手なら
英語が都合がいいと言われた。 確かにネイティブな言語で接触できた方が都合が良いのだろうが
そういえば、紅魔館のヴァンパイアは我々のこと言葉に合わせているのを考えると、幻想郷の妖怪の
言葉がわざわざ専門に学習しているものだと考えられて成る程微笑ましい。


知り合いに話すので写真撮っていいかと尋ねたら割と軽くOKと言われた。
前身を包むボディスーツは何の為かと尋ねると、今日はバイクで移動していることと。
空を飛んでも寒くないこと、下から覗かれる心配がないと言われて思わず納得してしまった。


会社に戻って同僚達にこのことを話したら、魂魄がありえんと言って唸っていた。
元から素材レベルで美人だと思っていたが、改めて写真で見ると化粧もしっかり決まっていて
想像以上に危険である。 周りから朝倉さんがいるのに良い度胸だと言われたが、
勘弁してくれと思う。