□月 ●日  No1530 好きでやってないのよ


木枯らし吹き荒れ、寒さもいよいよ本格的になってきた今日この頃。
冬眠型妖怪がぼちぼち自分の寝床に引きこもる時期でもある。
最近の冬眠型妖怪の流行は防犯グッズ。妖怪の寝床に侵入しようというアホっているものかと
思うのだが、財産が奪われると困るという妖怪は結構いるらしく、顕界から輸入した
防犯グッズが食料品とセットでよく売れたりする。


冬眠と言えば隙間妖怪のことを話さないといけない。
彼女は本来なら冬眠しなくてもしても問題ない妖怪である。
そんな彼女が冬眠をしていたのは深い理由がある。


冬眠とは新陳代謝速度を落として、食料などが少ない冬場を通り抜ける智恵である。
冬場を可能な限り眠って過ごして消費エネルギーを稼ぐのだ。
隙間妖怪のように膨大な力を持つ妖怪はいるだけで幻想郷のリソースをかなり
持って行ってしまう。 
幻想郷立ち上げに関わった彼女にとってその状況は我慢できなかったのだろう。


食料輸送についてのリソースを簡単に例に取れば隙間妖怪と白玉楼のお嬢様だけで
コンテナ一台分のリソースを持って行かれる計算となる。
昔の八雲商事の運輸リソースは限られていたし、そもそも結界突破も不自由していたので
強力な妖怪には協力をお願いし、率先して冬眠状態になって貰うことで
幻想郷住民の活動制限を行っていたという事情がある。


状況が変わったのは岡崎夢美の入社以降のようだ。
彼女が作った幻想郷へ移動できる技術のお陰で輸送能力が飛躍的に向上した。
丁度その時期に氷雪異変が起こったのである。
輸送能力が向上したことで、隙間妖怪はあまり長時間冬眠しないで済むようになったのだ。


まあそれが良かったかどうかは、それは後々の評価に委ねたいところである。
幻想郷も少しは住みやすくマシになったと言うことか。