□月 ●日  No1529 灰色商売


自称現人神がまた変な事業を始めたというので様子を見てみる。
題して「博麗保険」 博麗の巫女が通りすがりの妖怪を退治と称して通り魔的犯行を行った際
怪我や物的保証を行うための事業らしい。


博麗の巫女は異変解決の際、たまたま通りかかった妖怪達に攻撃を仕掛けることが分かっている。
もちろん、妖怪の中には腕試しと称して博麗の巫女に接触して返り討ちに遭う者もいるので
どちらが悪いと言われると色々微妙だ。


私はこの話を大師様から聞いた。
妖怪達が大師様に保険の掛け金が高いと訴えたからだ。
実は自称現人神が提示した額は、顕界の基準で照らし合わせるとそこまで高いものではないのだが
所得が限られる幻想郷にとっては結構な額であると言える。


さらに疑惑として保険を断った者が博麗の巫女に襲われるという噂も聞いている。
自称現人神がそこまで博麗の巫女と仲が良いのか甚だ疑問なのだが、とりあえず本人に話を
聞いてみようと思う次第。


本人に話を聞くと開口一番、商売をしているが上手くいっていないと言われた。
どうも保険をかけても掛けなくても博麗の巫女に襲われやすいようである。
何故、襲われやすくなるのか疑問に思っているようだが。
答えは意外と単純だと思われる。
博麗の巫女は保険金をお賽銭と勘違いしていて逆恨みしているのだ。


当然襲われれば自称現人神は保険金を支払わなくてはならない。
結果として黒字と赤字の間の綱渡り状態になっているという。
商売を諦めたらどうですかと尋ねると、一年契約で前金を貰っているのだとか。
預かったお金は保険金として支払った後だという。


完全に破綻している。


仕方ないので財政出動して、注文品の相殺処理ですこしづつ返すことで手を打ったが
幻想郷では常識で商売しても駄目なのですねという自称現人神の言葉には
うんうんと頷くしか無いと思ったのだった。