□月 ●日  No1531 どこを塗ったかは秘密


幻想郷に持って行かないといけない物資は数多くあるが、今回の荷物も色々な意味で面倒である。
それは塗料の類である。


幻想郷にある建造物の中にはとてもカラフルな物も少なくない。
材料の持ち味通りに建てると良いのかというとそうでもない。
色にも謂われという物があって、ちょっとでも違うとそれだけで意味合いが異なることがざらにあるのだ。
そこで色の指定は顕界における色環表を用いて行うことになっている。
が、必ず妖怪やカミ様に接触して指定の色にすることになっているから糞面倒だ。


ところが連中と着たらおもしろがってまともな返答を貰えない。
色のイメージ画像と言うことでコンピューターを用いたシミュレーション画像を一応見せるのだが
カラフルになった建物が面白いらしく、これはどうだとかこれはどうだろうとか
色々遊びだしている。


すったもんだの挙げ句、最後に選ばれるのは既存の塗料だったりするのだから世話がない。


外壁用塗料なので、ただペンキを上から塗っておしまいというわけではない。
そんなことをしたらあっという間にひび割れて剥がれてしまう。
外壁用塗料は顕界で用いられる最新の塗料を惜しみなく使うのが通例だ。


つまるところ下塗り材と中塗り材 そして上塗り材を塗らないと駄目である。
ところどころにあるひび割れの補修を行いながら塗料を塗らないと駄目だ。


ここで一つの問題が発生する。 シンナーの臭いだ。
幾ら水性塗料を用いたとしてもシンナーの臭いが如何ともしがたい。
当然妖怪達は顕界出身以外シンナーの臭いになれていないため、興味を持って近づいて
中毒症状になる連中も珍しくない。
そこで御札を貼って進入禁止にしないとならない。


この場合は博麗の巫女が作った御札が有効だ。下手に破ったら恐怖のデストロイヤーに襲われますよと
謂うと概ね誰も弄らなくなる。


塗った後は永遠亭のように術を掛けて塗料の持ちを強化することもできるのだが
最近はあまりはやらない。一定年数経って色を変えた方がいいというのが幻想郷の方針だからである。
一見すると変化がないように見える幻想郷だが、実は変化に対して寛容であることはあまり知られていないのである。