八雲商事の連中は心霊スポットへ簡単に出入りすることが可能である。
それを可能にするのが、所謂幽霊の発言内容を読むことができる
専用エンコーダーなるものがある。
こいつがあれば幽霊から呪いを受けても、どういう内容か解析ができる。
解析できる呪いはそもそも呪いとは言わない。
相手はこちらが自分が述べていることを知らないと思っている。
だからだいたいの場合連中のやっていることは大胆不敵だ。
そんな連中の行動はいともあっさり読むことができる。
これらの技術はとても枯れており、私の携帯端末にも内臓されている。
使い方は簡単。ソフトを立ち上げてイヤホンで聴くと
彼らが一体何を話しているのかわかる。同じ方法で通話も出来る。
わりと簡単でとても便利だ。
心霊スポットにいる幽霊からは愚痴が聞ける。
なぜならここは一見人が来ないように見えて困ったひとたちの
たまり場になることが多いらしい。
その方が彼らも退屈しないから、心ばかりの心霊現象を
起こすという寸法だ。
故に彼らはだいたい無害である。
元々は魔法使いが実験失敗で命を無くした先人達から
知識を回収するために利用している魔術である。
魔法使いはその多くが、死と隣り合わせであり
しかもその多くが実験化学だったため、事故が多かったのである。
現代の数学を用いてコンピューターを併用した魔術とは訳が違うのだ。
今では失敗理由を解析してデータに加える魔法使いも居る。
この機能、割とポピュラーでコストも安いため、霧雨のご息女の
八卦炉にも当然内蔵されている。
彼女が霊と交信できたのはそのためだ。
魔法使いなら当然持っている代物なのであまり特別ってわけではないが
今回紹介させて貰った。