□月 ●日  No2016 八雲商事のなりたち


幻想の世界に物資を送るコンセプトは一体いつ頃生まれたのか。
色々な意味で疑問ではあるのだが、一つ言えることがある。それは単純に誰かが作ったシステムではなく
必要に迫られて仕方なくそうなったものであるということだ。
博麗大結界もまたそのルールに完全に従っている。 妖怪達の理想郷と言えば聞こえはいいが
それは単純に後ろ向きな思想によって作られている。


幻想郷は当初は一般の集落と一緒に周辺地域と交易をすることで生活していた。
そうしなければ成り立たないからである。森に住む者は沿岸部の者と交易しないと問題が起こるし
その逆も然りである。 隠里と言われたところでさえその基本は同じであると言えるだろう。


幻想の世界に物資を運ぶ必要があるということは博麗大結界が完全に外の世界と分離するときに
既にはっきりしていた。しかし当時は輸送手段が脆弱だった。陸蒸気が導入されて大量輸送への
道筋は示されたものの限界はあったのである。
当初は、魔界からの物資供与もあったという。魔界神は一応ものを生み出すことができる。
しかし彼女も万能ではない。想定される物資の数は想像上に多かったのだ。


結果、争いになってしまったのはある程度想定されていたものの、想像以上の結果になったと言われる。
これは、幻想郷の人口が急上昇したのも原因である。神仏合祀の煽りで想像以上に住処を奪われた
妖怪たちが居たのだ。これは当時の明治政府が、神社仏閣のリストラを加速させたのも理由の一つである。
神社仏閣の維持費はかなりの負担だったからだ。


結果として、大量に流入した妖怪達も相まって当初の目論見は外れ、八雲商事の別組織化を
含めた安定したシステムへの脱皮が図られることになったのである。
その後政変などに対して色々な試行錯誤、方針変更が図られて現代へと至っている。
必要だからやっただけにすぎないのである。