□月 ●日  No2015 小兎姫 愚痴る


朝、危なく起床事故。時計のセットが一時間ずれていた。
でも自力で起きることに成功した。素晴らしい。
と言っても時間はギリギリ。髪の毛が乾く瀬戸際だけどここで失敗すると枝毛を量産することになる。
もう髪の毛をボブカットにするべきではないのだろうかと常々思う。


職場に到着 ここで集合時間が一時間遅いことに気づく。
時計のセットは間違っていなかったわけだけど、結局慌てて出勤したので髪の毛が酷いことになった。
今日はつくづくついてない。
自業自得だけど。


比良乃と合流して今日の妖怪退治のブリーフィング。今は無人偵察機で索敵して
相手の実態や戦力を分析している。まんま軍隊の対応なのだけど、退治方法は完全に
一応幻想の戦い方になっている。
相手が髪の毛の妖怪と知って嘆息した。今日はつくづく髪の毛に祟られる。


髪の毛の妖怪周辺の人間を脱毛させる。比良乃が近づきたくないと言っていた。
しかしこの妖怪一体何処にいたのだろうか。一朝一夕で出現したにはサイズが大きすぎた。
謎はすぐに解けた。なんとこの妖怪、髪の毛の再生を研究している工場に幽閉されていたらしい。
色々な意味で頭が痛くなった。


とりあえず髪の毛がない草蓮を筆頭に作戦を立てる。
とりあえず、まずは戦闘する前に説得が基本戦略である。周辺住民をすでに巻き込んでいるので
強行すべきだという意見があるものの、戦闘行為をすれば周辺をひどく巻き込むことになる。
さらにこのタイプの妖怪は実弾兵器や一般の妖怪では有効な榴弾の類、弾幕も効きにくいのだ。
アウトレンジから狙撃しても十分な効果は期待できないだろう。
あるとしたら焼夷弾やグレネードあたりになるか。 どちらにせよ周辺を巻き込むことになる。


現地へ飛ぶ。ヘリを利用して現場に急行。 途中で、一般市民と妖怪が接触しているという情報。
なんとかできないかと尋ねるも、なぜか妖怪が一般市民を庇うような行動に出ているため
手出しできないと連絡。 もしかして人間の黒幕がいるのか。 ライブ画像を凝視する。


一般市民ブリーフケースを開ける。 髪の毛の固まり どこが頭か分からないけど
うんうん頷く。 そのまま固い握手と抱擁。 みんなずっこけた。


草蓮が呆れた声でどうしますかと尋ねてきた。 比良乃が面倒だから焼いた方がと言っていた。
ナチュラルに物騒すぎる。 
とりあえず契約を結んだような人物の身柄を確保、事情を聞くことに。


彼は永久脱毛の会社の役員と名乗っていた。妖怪の被害を見て、これだと思って駆けつけたのだとか。
妖怪は、単に給料が少なくて生活できなくなり今のところを飛び出したが、何も出来ないため
暴れていたのだとか。たしかに仕事をしていない妖怪はホームレスも同然である。
そして今までの給料の2倍で契約が結ばれたというオチのようだ。


程なくしてその妖怪も身柄を確保。 髪の毛を元に戻して被害届は出ないことになったが、
誰が見ても被害に遭っていないと思われるバーコードヘアーの男性がお願いしますと土下座したのには
色々言葉に出来なかったとだけ報告したい。


とりあえず、私たちの作戦は空振りになったけどこういうこともあるから霊能局の仕事は面白い。
髪の毛とかさなきゃ。