□月 ●日  No2394 小兎姫博麗神社に向かう


朝、強風が巻き起こす轟音で目が覚める。
遅刻魔比良乃をモーニングコールで叩き起こす。
比良乃は遅刻しそうになるとしばしば空を飛ぶ。あまりに安易に空を飛ぶから局長にも窘められることがある。
確かに顕界の博麗神社は公共交通機関から遠すぎるし、バスも聞けば一時間に一回しかやってこない。
そうでなければ現実世界の博麗神社が幻想入りしないともいえる。


でも今回、比良乃は遅刻することはない。なぜなら今回の案件は博麗神社で起こっているからだ。
一見するとぼろぼろに見える博麗神社だけど、実は構造体そのものはきちんと保たれている。
そんなことだから幻想郷の博麗神社が容易に崩れるのだと言われると返す言葉はない。
こっちも耐震基準というものがあって、それに合わせてメンテナンスをしているのだ。
そのためか、外見はぼろぼろなのに、スプリンクラーが入っていたり、免震装置が入っていたりと
まるでサイボーグ出みたいな代物になっているのだ。


そんな博麗神社の敷地に薬剤を撒くのが今回のお仕事。
もっともやるのは有資格の業者さんで、私たちはというと、露払いに居たりします。
普通なら比良乃一人でできることに見えるかもしれませんがここはやっぱり博麗神社。
薬を撒かれたら困るとばかりに妖怪変化が出てきます。


一応虫の忌避剤が入っているので博麗神社に住んでいる虫たちが文句を言うのは
容易に想像できます。それを実力で説得するのが私たちのお仕事です。
それにしてもですね、私たちが来たら白旗上げるってどういうことなのでしょう。
おまけに土下座までしてます。確かに5年前に相当ボコったのは間違いないのですが、
戦闘不能にしただけで死者はでなかったと記憶しております。
比良乃が苦笑いしていました。あの昆虫たちになにか吹き込まれたに違いありません。


半日くらいで薬の処置は完了です。
臭いが立ち込めているのは、薬の影響じゃなくて地面の臭いとのこと。
確かに地底に降りた時もあんな臭いがしていたような気がします。
比良乃が近所のコンビニでサンドイッチを買ってきたのでそれでお昼にしました。
案の定私の奢りで。


あとでスイーツを奢らせます。