□月 ●日  No1838 行き違い


朝、といってもまだ真夜中。始発電車に乗るために早めの起床。
電車の中で寝る予定。 寝不足のためか肌が酷いことになっている。
比良乃がくれた軟膏とやらを塗ったら少しはマシになった。買ってきた場所を聞いてみよう。


今日は長距離出張。本来なら草蓮が変身した高速ヘリでひとっ飛び、いや自分の力でもひとっ飛び
なんだけど、さすがにここで目立つ行動をするのは控えたいところ。
今日は佐渡からある妖怪を迎えに行くのだ。
彼女の名前は「二ッ岩 マミゾウ」所謂化け狸と呼ばれる存在。


彼女がどちらかというと戦闘向きではないことはよく分かっている。
彼女が呼びされたのはもっと別の理由がある。
ここには、基地があってその立ち上げに彼女が関わっていたことを聞いたことがある。
そうでなければこの妖怪の巣窟だった佐渡島に基地なんてできるわけがない。
祟りに逢ってあっという間に戦略的拠点を失うことになる。
そう、彼女は体制側とのパイプを強く持っているのだ。


公安が幻想郷の調査を行っていると聞いたときに何故そんなことをするのかと
疑問に思ったが、合点がいった。彼女がバックにいたからだ。
そんな彼女を私一人でなんとかできるのかは些か疑問だ。


電車から陸路、そしてフェリーに乗って遠路遙々ついた佐渡島
普段だったら観光でゆっくりバカンスといきたいがそうはいかなさそうだ。
そのマミゾウとかいう妖怪を連れてこないとならないのだ。


タラップを下りた。
目の前に写真の人物がいた。こっちの動きが読まれていた。
手を差し出して握手しようとした。 手が虚空を触った。
近くの職員さんが言う。 
「よくできているでしょう。マミゾウさんの立体映像。」
彼女は自分を観光のネタにしていた。
隠れる気一切ゼロ。本人はこの仕掛けに引っかかるとたいそう喜ぶという。


そして聞かされた驚愕の事実。
本人はすでにここを離れたらしい。無駄足すぎる。このまま観光にしゃれ込むか。
本部に連絡、皆がマミゾウの行方を見失ったらしい。
駄目すぎる。 映像に映っているもの皆がマミゾウの立体映像では衛星を使って探すのも
難しそうだ。


ダメ元でマルハチに連絡。 ここには変なネットワークがあるからきっと狸の場所が
わかるかもしれない。





マルハチの休憩室でお茶をすすりながらせんべいをかじっていた。
ふ ざ け る な。
色々バイパスを使ってとって返したけど、私の睡眠時間を返せ。