□月 ●日  No2014 本はかりるもの


幻想郷における本屋と言えば基本的に貸本屋のことを指す。
物資的な理由で本の大量生産が困難だからだ。
幻想郷において紙の自給能力は殆ど期待できず、たとえば天狗達が作る新聞はせいぜい
数ページが限界になってしまう。


本屋に何故か白紙の本が売っている。
これは複写用の本である。本を借りたら基本的に複写するのが常である。
複写には手で書く場合が主流だが魔法使い達は基本的に魔術でコピーする。
気合いが入っている人は複写代行と称してお金を取る者もいる。
霧雨のご息女が本を借りパクした場合はこういうニーズがあるからだと
知っておいて損はないだろう。


朝倉が顕界にやってきてなによりびっくりしたのが本屋で同じ本が何冊も
売られている光景だという。
印刷技術よりも物資の多さに驚いたというのが実際のところだろう。


教材用の印刷物については一応自重しないで送るのだが、
もっともそれも基本的に他の子供達も共有する仕組みになっている。
パラパラ漫画はもってのほかであり、勿体ないという観念が先に来る。


さて、そんな本であるがもちろん文芸書からイラスト本など基本的に多種多様。
最近はスペルカードに文字を弾幕として記録するという電子書籍を先取りしたものも
出ていて結構便利になっているものだと思っている。
現状で記録できる内容はカード一枚に対して文々。新聞一冊分といった案配だが
圧縮技術の向上でこの辺はさらに収録レベルを上げられるだろうというのが技術部の談だ。


そういうわけだから借りた本はきちんと返しましょう。
だれとは言わないが。